借金に追われて人生に詰んでいた女性が、王子様のような男との出会いがきっかけで大富豪になる筋書きはシンデレラみたいで、実際、美容院で髪を整えてもらい、ドレスを試着させてもらって大変身する場面は玉の輿のお姫さまそのものだけれど、原作のシンデレラが、幸運が転がりこむのを受動的に待つだけなのに、こちらの主人公はなんと能動的だろうか。
自分の意見をはっきり述べて、だめなものはだめ、いやなものはいや、と正直に言う。会長と将棋をさす場面では、「女が将棋に勝てるわけがない。女なんて、3割は虚栄心、1割はヒステリー、あとの6割はイタリアブランド」と差別発言を繰り出す会長を相手に、王手を指して追い詰めてしまう。へこたれないしたたかな女性をイム・スジョンが好演していた。
王子様と思っていた男がとんでもない食わせ者とわかって蹴落とされてからの後半の急展開はハラハラドキドキで、大逆転劇がカタルシスだった。
後半で出てくる謎のキーパーソン、チン・ギョンの存在感も半端ない。イム・スジョンとの共演を『メランコリア』で見たばかりだけど、二人とも期待を裏切らない俳優さん。
