Yoshishun

SCOOP!のYoshishunのレビュー・感想・評価

SCOOP!(2016年製作の映画)
3.8
まさかの喘ぎ声から始まり、東京の夜景に終わるオープニングからかつての凄腕カメラマンの落ちぶれっぷりが既に見て取れる。ジャーナリズムの欠片も微塵もない程自堕落した中年パパラッチがとある理由で転職してきたド新人記者との出会いを経て、少しずつ昔の情熱を取り戻していく過程は面白い。

二面性俳優の福山雅治が汚れ役を演じること自体が意外だが、やはり福山雅治らしさが全面出てしまっているのは惜しいところ。他の役者はちゃんとはまっており、二階堂ふみや滝道賢一、吉田洋、そしてリリー・フランキーといった個性豊かな役者陣たちの熱演は凄い。それゆえに"福山が静を演じている"感じが余計に際立つ。

大根仁監督が自らパパラッチにインタビューを行った成果が出てるかどうかはさておき、奇抜な撮影法やジャーナリズム精神論といったこの手の作品にはもってこいの演出の数々。後半になるにつれて、無理矢理撮影するといった方法ばかりが見られ、結局は体を張ったものが良いものを撮れるような展開になっているのが残念。

前半はかなり面白かっただけに、後半はちょっと期待外れ。パパラッチらしいラストシーンには感動必至なのは間違いないが、クライマックスの犯人の顔写真を撮影する下りは後半にあまり活きていないため、盛り上がりに欠け、映画全体を捉えるなかでそこまで深い意味が無いように思えた。

しかし、何だかんだ言ってそれなりの満足感は得られるし、テンポの良いギャグやそこそこの感動、そして役者陣の熱演が功を奏してる。もっと吹っ切れた内容にした方が面白かった気がするが、これでもそこそこ楽しめる作品。
Yoshishun

Yoshishun