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無気力症シンドロームのFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

無気力症シンドローム(1989年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

1989年のロシアの作品だから何かしらドグマに着地するだろう、と予想していたら、リンクレイター『スラッカー』を先取りするような虚無感と無気力へ。Xジェネレーションへの余りに早い言及か。話し手の身の上話や個人的な話ばかりが飛び交い、社会的目標や政治的達成の為に一枚岩になり団結することからすっかり遠ざかってしまった社会について長回しを中心に描写。(プルカーゴフ宜しく)動物的アレゴリーの前では、トルストイもツルゲーネフも空言。これは今の日本とも遠くない話かも、と思いながら見ていた。固定カメラの前で他の話者と被るように、若しくは脈絡無く話す人物たちは、檻の中にいるようだし、映画内映画の様に喪失による虚しさを埋めるような行為さえ観客には求められない。
正直この150分の長さが適当かは疑問だが、フィクション/ノンフィクションを超えた寓話としては傑出。
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