HollyGolightly

火の山のマリアのHollyGolightlyのレビュー・感想・評価

火の山のマリア(2015年製作の映画)
3.9
南米の小さい村の日常は貧しくても色彩豊かに彩られていた。彼らの色とりどりな民族衣装、火山地帯の土の真っ黒さ、赤い豚の血や肌、コーヒーの木々の緑。引き継がれる伝統。長くてどっしりとした時間が流れている。

「無知な原住民」みたいなコメントを見るたびに、私たちがいかに「先進国」や「後進国」といった構造の中で生きてるかがわかるね。彼らを「無知」と形容することは間違っている。西欧的な被造物である「先進」「発展」という概念に私たちが囚われているだけ。彼らは私たちの知らない世界のことを知っているし、何より「知識」とは科学的裏付けのある情報のことだけではない。


イグナシオのしたことは許されることではなかったね。言葉が通じない会話を聞きながら赤子の行方を案じているマリアの母の顔が忘れられない

結局、マリアは逃げようとした初めの現実を避けることができなかった。マリアには何の落ち度もない。理不尽な目にあい、逃げ出そうともがき、恋をし、裏切られ、傷つき、傷ついてもなおマリアは力強かった。静かで凛とした生に溢れていた。生命の物語だった。