荒野の狼

鎧武外伝 仮面ライダー斬月/仮面ライダーバロンの荒野の狼のレビュー・感想・評価

5.0
テレビシリーズ“仮面ライダー鎧武”の脇役であった二人のライダー斬月(景虎が変身)とバロン(戒斗が変身)が、それぞれ主役を務める30分の物語を二つ収録。Vシネマであるが、残酷シーンなどはなく、全年齢層に適した内容。シリーズのレギュラーがほとんどすべて登場する贅沢な内容(登場しないのは、泉里香と弓削智久)。どちらも一話で完結しているので、シリーズを見ていない視聴者にも、ある程度、楽しめると思われるが、シリーズのファンには、景虎と戒斗の語られなかった過去が明らかになるので、本シリーズに深みを与える作品といえる。“仮面ライダー斬月”は、景虎に、鎧武こと葛葉紘汰の次のセリフからスタート。”なあ、あんた。本当にこんなやり方でいいのかよ。胸張って正しいと言えんのか?”。これは、シリーズのテーマのひとつである、大きな目的のためには、より小さな犠牲もよしとする手段は正しいのか?を問いかけるもの。景虎の父は、寺田農(みのり)で、寺田が以前、仮面ライダーWで演じた役を思わせる貫禄があり不気味な役どころ(寺田はメイキングで、今回の撮影は以前のライダーシリーズのスタッフと再会できたと語っている)。寺田の使用人役の岩田さゆり(北川景子に少し似る)がヒロイン。岩田は硬軟を演じ分け、豊満で魅力的(アクション・シーンは、残念ながら吹き替えのように見える)。景虎との恋愛シーンは穏当で、家族向け。”仮面ライダーバロン”は、戒斗を演じる小林豊が、戒斗にそっくりという設定の明るい人物シャプールの二役を演じている。メイキングでの明るい小林を見ると、シャプールは小林本人の人物像がモデルというのは頷ける。アクションで目を引くのは、ライダー同士のバイク対決で、バックフリップをはじめ、マウンテンバイクを乗るような身軽さで、岩山を昇降。また、後ろ手に縛られた戒斗が、キックや体当たりで窮地を脱するアクションも見所。特典のメイキングは48分。主要出演者のインタビューなど。女ライダーの佃井皆美は、本作でも仮面ライダーマリカ を変身の前後とも演じているが、冷たい役柄とは正反対の笑顔がメイキングでは見られる。以下はいいセリフ。

仮面ライダータイラント:いつの日か財団のすべてを奪い取る

仮面ライダーバロン:そのつまらん理由が、お前の弱さの秘密だ
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