ゴトウ

鎧武外伝 仮面ライダー斬月/仮面ライダーバロンのゴトウのレビュー・感想・評価

3.0
30分強ずつ、呉島主任と戒斗が主役のスピンオフ。本編同様、破綻のないように「あの時こんなことが…」という形で物語世界が拡張されている。

主任の方は光実の不穏な行く先を予見させつつ、ユグドラシル(と呉島家?)のさらに邪悪な部分を描いている感じ。主任は元使用人にも父親にも騙されていたことになる。さすがに心配になるレベル。この辺は真顔ギャグというか、製作側もわかっててやってる感じ。ファンからのフィードバックをもとに足したり引いたりできるのは、本放送終了後のスピンオフならではか。吐血(あんまり必要なかったけどね)や孤児院における人体実験など、ニチアサでは扱えない要素も入れられて自由度も高まっている感じ。よく言えば情に厚い、悪く言えば甘っちょろい主任のキャラクターを再確認しつつ、それでも罪を背負って人類を救おうとする本編での行動の説得力を補強する良いスピンオフだった。

戒斗の方も本編で入れられなかったことを盛り込みつつ…というのは変わらないが、よりメタ的というか、アイドルでフニャフニャしたキャラで元パティシエで…という小林豊(戒斗ではなく)をやりたかったのだろう。顔が同じ別人という設定、どう見ても日本人にしか見えない王族と護衛など、多少無茶だけどつっこむのもヤボか。舞と戒斗(と同じ顔の別人)が一時デートのように過ごすシーンは、はじまりの男が戒斗であったなら…と思わせなくもない。本編も割と入れてたと思うけど、『クウガ』ばりにたっぷりバイクアクションもあり。これも本編で入れられなかった分入れたということか。虐待されていた戒斗の過去、ニチアサでは入れられないだろうけど「信頼できる大人に出会うことで成長していく子ども」という軸に戒斗が当てはまらなかったのはこういうことかと納得いく感じもしたな。人体実験のための孤児院(『約束のネバーランド』じゃないんだから)育ちで「悪い大人」のプロフェッサーもそうか。葛葉/戒斗と貴虎/凌馬の構図は案外似ているのかもしれない。

本編の時間軸の途中に挟む番外編なので、新規登場するのは使用上問題のあるロックシードばかり。直接的にはつながりのない斬月編とバロン編を結ぶリンゴのロックシード、体を蝕まれて倒れた人から奪ったロックシードをそのまま戒斗に使わせるあたりからも戦極凌馬のマッドサイエンティストぶりが垣間見える。後付けでどんどん狂人のようになっている気もする。ドラゴンフルーツエナジーは『MOVIE大戦』とこのスピンオフを繋いでいるわけで、内容のはっちゃけぶり(特にバロン編)に対して整合性や物語のツリーへの真摯な態度は相変わらずで好印象。

あとエンドロールのメイキング映像みたいなやつ、監督?がやたら女性出演者の頭撫でたり抱き寄せたりしててキモかった。
ゴトウ

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