Kuuta

大地を受け継ぐのKuutaのレビュー・感想・評価

大地を受け継ぐ(2015年製作の映画)
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作品の大半が樽川さんの独白で構成されており、あたかも我々が樽川さんの家の居間で話を聞き、取材しているかのような錯覚に陥る。これだけ特異で厳しい状況に置かれた方の生の声が聞けるというだけで、とても価値がある。解釈に基づく再構成を敢えて避けた、声を届ける「メディア」としての映画だと思う。

会話の間、息づかい。理路整然と語り続けてきた樽川さんが、父の自殺の話に差し掛かった時、少し息を飲み、言いよどむ。製作側の演出がほとんどないため、この空気を、この現実をどう理解すべきなのか、受け止め方は我々に委ねられている。少しでも多くの人に見てもらいたい。
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