仁

リップヴァンウィンクルの花嫁の仁のレビュー・感想・評価

3.8
幸せのキャパシティについて考えたことなんかなかった。防波堤としてのお金。

久しぶりの、本当に久しぶりの岩井俊二...2年ぶりくらい。あの頃は岩井俊二が僕のほぼ全てだったと言っても過言ではなく、目に見える風景にちょっとでもイイ感じの光が入るとすぐ岩井作品の面影を重ねていた。好きすぎて作品を全部見終えるのが嫌で、このリップヴァンウィンクルも長らく放置していたものの一つ。節目だしいい機会なので鑑賞。

しかし放置していた2年間で映画に対する好みや考え方というのがすっかり変わってしまい、今や岩井俊二は「昔好きだった人」枠。不安に思いつつ観ると開幕早々「いやそうはならんやろ」のオンパレード。岩井作品がメルヘンなのは重々承知なのにそう思ってしまう。レンズフレアもクラシックもトゥーマッチだ、あぁもうあの頃のように魔法にかけられることはないのか、黒木華も綾野剛も200点満点の芝居なのに...と落胆しかけてたら!!!落胆しかけてたら!!!

Coccoが凄すぎた〜〜〜〜〜〜これはもう個人的にスワロウテイルのChara級。再来や、再来。なんとなく作為的に感じていた前半の展開からCoccoの出現で気持ちいい作為になる、彼女が観てる方をグイグイ引っ張ってくれて、ひょっとしてこれがあの頃感じていた岩井マジックじゃないのか!?これ!この感覚!といつの間にか勝手に思い出して勝手にテンション上がってた。岩井ワールドに脳が順応するまでかなり時間を要したけどそれ以降は割と楽しめた。ずーっとメイド服着さしてるとことかホンマろくな趣味してないけどね。

【地味な瞬間最大風速】
魚の業者役の人、めちゃくちゃ自然体のいい演技でびっくりした。微妙に関西弁のイントネーションが混ざった話し方すごい。
仁