『法の書』というタイトルで、イラン映画。
それなのに、コメディという衝撃!
でも、コメディなのは前半までで、嫁いびりがだんだん陰湿になる後半は結構シリアスだった。
宗教や信仰は、本来正しく生きるためのツールと言うか、考え方なのだと思う。
しかし、実際にはそれに縛られ、ただ窮屈になり、2015年の常識的な考えでは、まずあり得ないリスクを、本気で恐れてしまう要因になっていることがあるようだ。
イスラム教徒は、豚肉を食べてはいけないという決まりがある。
なぜ、豚肉が禁止になったのか諸説あるようだが、昔は、豚肉を安全に食べるための調理法が確立されていなかったこと。繁殖力の強い豚を食べると、ふしだらな存在になってしまうと思われていたことなどの理由があるそうだ。
レストランにて、グループのボスが野菜しか頼まないシーンがある。
メニューには、ハラルフードと書いてあり、ムスリムの人たちも食べられる肉料理のはずなのだが、「調理人たちが信用できない」「知らない間に罪を犯してしまうかもしれない」と言っていた。
豚肉を食べると呪われると本気で思っているようだ。
これは映画だけど、もしも本当にそう思っている人がいたら問題だ。
そんな、ありもしないことで生活が縛られるなんて…
そこが、宗教のこわいところだと思う。
で、結局はボスが寝静まった後に、みんなコソコソとケンタッキーや、ステーキを食べに街へ繰り出した。
主人公のラフマンが、行く先々の店でコソコソ肉料理を食べる同僚にに出くわす。
このシーンはかなり笑えた。
(豚は食べてない)
信仰や文化など全く違うように思えるイランと日本。
でも、嫁姑問題をみて、案外イランも日本も大して変わらないのかもしれないと思った。
キリスト教から改宗までして、嫁いできた嫁に対して、姑たちの意地が悪いこと悪いこと。
最初コメディだったこの映画も、あまりにも陰湿で悪質な嫁イビリに、思わず引いてしまった。
恐るべき、イランの姑 ヒイィィィ!!!!(゚ロ゚ノ)ノ
PS. オープニングで、印象的なコマ撮りシーンがあるのだけど、ここで姑たちの下品な声が高らかに響き渡る。
ここから、後半の陰湿さにつなげる展開はとてもうまいなと思った。