KaZui

ミュージアムのKaZuiのレビュー・感想・評価

ミュージアム(2016年製作の映画)
3.7
💬原作は日本の同名漫画。レインコートにカエルのマスクという異様な格好をして「芸術」と称した殺人を繰り返す通称・カエル男(演:妻夫木聡)を追う刑事・沢村久志(演:小栗旬)の物語。邦画版『セブン』などと言われることもあり、確かにそれを想起させるようなシーンも多い。犯人による差し入れで刑事が食べたハンバーガーに使われた肉が妻と息子のものではないかという疑念が生まれ、沢村刑事が妻と息子の生首を冷蔵庫の中で発見したシーンは、沢村刑事と私たち鑑賞者をともに絶望させるには充分すぎる素晴らしい描写。ただ、残念なのはポスター等の煽り文。「あなたは最悪のラストを期待する」というものなのだが、ここまで書かれてしまうと、沢村刑事の妻と息子は実は生きているのではないか?と思わされてしまい、生首シーンの絶望感が減ってしまう。また、漫画が原作とのことなので仕方のないことではあるが、原作未読の立場から映画の物語に突っ込ませていただくと、不要なシーンが多かった。沢村刑事の父親のシーンなどはまさしくいらなかったのではないだろうか。刑事になった理由こそ、他人の子どもを守って殉職した父親を理解したい思いからだと分かったものの、仕事ばかりで家庭を蔑ろにしていた父親に軽蔑の念すら覚えていたのにも関わらず、主人公が同じように家庭に目を向けることのない生活を送っているのはいかがなものだろうか。最後に、カエル男について。カエルのマスクを被っておぞましい殺人を繰り返していたときには不気味さを感じとても良かったのだが、マスクを脱いでしまってからはかなりの小物のように思えてしまった。カエルのマスクというインパクトをどうしても超えることができていない。設定上、そしておそらく原作の描写もあってか仕方のないことではあるのだが、特殊メイクなしの妻夫木聡のほうがよりカリスマ性や不気味さを感じられたのではないかと思う。否定的な意見の方が多くなってしまったが、邦画において漫画の実写化というのは残念な出来になりやすい。原作既読の方がどう思ったのかは定かではないが、この映画は「ちゃっちい」と感じるような部分はなく、全体的に高い完成度を誇っていたように思う。ジョン・ポルソン監督の『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ(原題:Hide and Seek)』のようなハッピーエンドに闇を潜ませるラストも好み。

初鑑賞:2019年8月15日
鑑賞方法:動画配信サービス
(Amazon Prime Video)
2019年224本目。
8月16本目。

🗣普通に面白かったです。
KaZui

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