KaZui

ニューオーダーのKaZuiのネタバレレビュー・内容・結末

ニューオーダー(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

💬舞台はメキシコ。裕福な娘・マリアン(演:ネイアン・ゴンザレス・ノルビンド)の結婚パーティーの日、政財界の名士たちが彼女を祝うために豪邸に集う。そんな中、街では貧困層の人々が抗議運動を起こした末に暴徒化していた。冒頭から死体の山が映し出されて姿勢を正した映画。86分と短い映画ながらも、映し出されたものは非常に濃い内容だった。そして、この映画で恐ろしいのは暴徒が富裕層に反旗を翻すことでは断じてなかった。覆ることのない格差構造と絶対的な権力の恐ろしさが詰まっている。一時は、暴徒や使用人の反乱によって富裕層に一撃食らわせるのだが、その後は武器を持った軍によって制圧される。しかし、マリアンを含めた富裕層の人々は今度は一部の軍人たちによって人質の立場になってしまう。マリアンを助けようと一生懸命だった彼女の使用人たちは兵士たちから身代金とマリアンの引き渡しのためにマリアンの家族との間に入るが信用してもらえない。好き放題始めた軍の兵士達だが、彼らもまた上層部の手によって皆殺しにされるわけである。かくして、マリアンはようやく救われた。そう思いたかった。軍の不祥事を隠蔽すべく、上層部は人質たちも殺害し、その罪は使用人のような貧困層に押し付けた。国家の権力者と、彼らに都合の良い、もしくは、関係の深い金持ちのみがある意味での勝者となる。考えうる限り最悪の、しかし、現実に起こっても不思議ではないラインの地獄を見た。

初鑑賞:2024年3月31日
鑑賞方法:動画配信サービス(U-NEXT)
2024年90本目。
3月33本目。

🗣善人ほど救われないのがどこまでも地獄。
KaZui

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