サマータイムブルース

ダンガル きっと、つよくなるのサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

4.5
「ダンガル」はインド語でレスリングのこと
広い意味での情熱に溢れたファイターや、人間の尊厳も表し、闘い続ける者たちを称える言葉でもある
(Google検索より)

映画の楽しさや面白さがたくさん詰まった映画でした
映画はこうでなくっちゃ!!
ラストはとても感動しました

いわゆる親が自分の子供をシゴいて目標を達成する親子鷹、スポ根もの
女子レスリングだとアニマル浜口さん、浜口京子さん父娘を思い出します
他にも日本では吉田さゆりさんや伊調馨さんなど、金メダリストをたくさん輩出している身近なスポーツなので、見ていて楽しかったです

自身が経済的な理由でレスリングをを諦めざるを得なかったマハヴィル(アーミル・カーンさん)は、金メダルの夢を自身の息子に託します
ところが生まれて来たのは3人続けて女の子ばかり
一時は夢を諦めたマハヴィルでしたが、娘が男子と喧嘩してコテンパンにやっつけたのを見て、才能ありと見抜きます

次の日から特訓が始まります
きついシゴキに反発する2人(長女と次女)
ある日2人は練習をサボって友人の結婚式に参列します
そこで花嫁に父親の文句を言うと、
「私はあんな父親が欲しい、だって彼は娘のことを思っているもの
うちなんてひどいよ、女の子が生まれたら料理と掃除を教え、家事を押し付け、14歳になったら嫁に出し厄介払いよ、会ったこともない男に引き渡されるの」
と、言われます

それを聞いた2人は身を入れて練習に励むようになります
当時のインド社会における男尊女卑の痛烈なメッセージが込められていました

やがてシニアクラスになったギータ(長女)が、入団したインドの国立スポーツ・アカデミー(NSA)で、担当したコーチの指導方法が今までの父親のやり方と違っていて、対峙します
そこはどうなんだろう、今はどんなスポーツもデータが重要視され、近代化されているので、彼を悪役にするのはちょっと疑問に感じました

この映画のクライマックスは世界大会であるコモンウェルスゲームズに挑んだギータの決勝戦でしょう
コーチは応援に駆けつけた父親がウザくて倉庫に閉じ込めてしまいます
この演出は必要なかった気がしました
なぜなら、クライマックスは決勝戦だけに集中したかったからです
父親が脱出できるかどうかそっちが気になって、試合を集中して見ることができませんでした
例えば、もっと対戦相手の背景にスポットを当てて、ライバル対決を鮮明にして盛り上げる、みたいな演出の方が良かった気がしました
映画素人の個人的な意見です

決勝前にマハヴィルがギータに言ったセリフが素晴らしい
「銀メダルだとやがてお前は忘れられる、金メダルだと人々に勇気を与え、子供たちの希望として永遠に残る
勝利はお前だけのものじゃない、何百万の少女の勝利だ
男より低い地位にいる少女の勝利なのだ!!」
2位じゃダメなんです

DVDにおまけでついていた「アーミル・カーンの肉体改造」も面白かったです
マッチョな若い頃から、ダボダボに太った中年まで演じ分けた彼の肉体改造のドキュメンタリーです
今だと、ボディスーツ着たり、特殊メイクやCGで、どんな体型の変化も可能な時代なのに、自ら肉体改造をして撮影に臨んだ彼の役者魂に頭が下がりました

本物のギータが、大ファンだと公言する吉田沙保里さんにこの映画を贈って、吉田沙保里さんがメッセージを送るYouTube動画も興味深く鑑賞しました