Maki

ファニア歌いなさいのMakiのレビュー・感想・評価

ファニア歌いなさい(1980年製作の映画)
3.4
ミュージシャン、FaniaFénelonの自伝『ミュージシャンオブアウシュビッツ』に基づいた作品。歌手であるファニアが、音楽家の仲間たちと共に強制収容所を生き抜く姿が描かれています。

派手なシーンはほとんどなく(グロも無いです)、収容所内での日々を淡々と描いている(余計な脚色は加えず、自伝に忠実なのかも?)。バラックとオーケストラの練習室をひたすら行き来する主人公を2時間半ひたすら眺めている感じなので、少し長く感じてしまった()

そして〜、やっぱり一芸に秀でている人たちは強い...。収容所によりけりですが、何かしらの特技を持っている人たちはナチス側から一目置かれ、他の収容者たちとは違う扱いを受けます。生存率もグッと上がる気がする。他の自伝等を読んでいても、何かしらの特技を生かして生き残った方が多い気がします。

また、収容者同士でも、お互いの出身地や宗教観が異なるとイジメたり罵り合ったり。よく聞く話ではありますがやっぱり悲しすぎます。

収容者の苦しみとナチスの残忍さだけにスポットを当てるのではなく、収容所のありのままの日常を描き出そうとする姿勢が感じられました。その公平さこそが、この映画の最大の魅力だと思いました。
看守側にも収容者側にも"完全に"良い人・悪い人など存在しなくて...人間の美しさと醜さの両方に焦点が当てられています。

看守の味方をする収容者がいたり。看守と収容者たちが一緒に喜びを分かち合う場面もあったり。女性看守がわなわなと取り乱してしまう姿が描かれていたり。
看守も収容者も本来は同じ人間であるはずなのにどうして...と何気ない場面で何度も胸が締め付けられた。

ひとつ残念だったのは 全登場人物が英語を話していたこと〜!!ㅠㅡㅠ
これいつも呟いている気がしますが...。やっぱりリアリティ半減してしまう気がして、個人的にはガッカリポイントです。
主人公のファニアは綺麗なイギリス英語でしたよ...(´-`).。oO
ポーランド語やドイツ語メインのホロコースト系映画見慣れている方は違和感アリアリだと思います...!
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