Torichock

日本で一番悪い奴らのTorichockのレビュー・感想・評価

日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)
3.7
「日本で一番悪い奴ら」

「凶悪」で大盛り上がりした2013年。
「凶悪」にぶっこまれちまった2013年。
「凶悪」に流行語をかっさらわれた2013年。

俗悪で景気の良い「凶悪」から3年後、ずっと楽しみにしていた「日悪」
これからいろいろ書くので、とにかく最初に言わせてください。

いやぁ、楽しかった。
正義がどうだ悪がどうだという裾を直したような意見なんかガン無視しまくって、ただただ腐敗し切った組織の中で、気が狂ったかのように踊りまくる人たちを見ていられるだけで、幸せに満ち溢れた時間だった。
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を見ているかのような気分。バカがバカなりに頭を使い、バカを超えた行動でバカみたいな領域まで進んでいくんですから、そりゃ見ているこっちもアガりますわな。この映画をみて、"これは、コメディの皮を被った..."とか、眉間にシワ寄せて難しげなこと言う奴の方が、5万倍くらいバカ。
世の中、実態はこんなもんよ。

おっぱい→バカ→バカ→バカ→おっぱい→バカ
の無限ループ。
そんなんで、ちょうどいいのさ。

ところでエロ描写も素晴らしくて、矢吹春奈演じるホステスとのSEXシーンは最高。
僕の大好きな

ガラスに後ろから女性を押し付けてファック!

ショットのサービスショットもあるし、綾野剛がおぎやはぎのラジオで、チンポコ勃ってしまいそうになったと言っていた、ソープのシーンも面白い。ここまでくると、ぐっちょんぐっちょん。(←"ぶっこんじゃおう"を狙ったのかもしれないけど、パンチに欠けます。)

諸星のめちゃくちゃヘタクソそうなSEXも、ここまでくると愛おしい。

また出ている面々の、いわゆる良い顔が素晴らしい。
イケメンではなくて、良い顔を撮らせたら白石監督の力たるや、素晴らしかった。
どいつもこいつも、キラキラしてて脂っこくて、無邪気。韓国映画か!

そして、中村獅童の名演ですよ。
ピエール瀧も流石でしたけど、僕の見たかった中村獅童を久しぶりに見れた。「ハード・ロマンチッカー」以来だ、こんな高揚感は!

撮り方もあがるシーンがありまして。
ススキノの路地裏を曲がって大通りに出ると、、諸星が成り上がっているところに繋がるワンカットがめちゃくちゃカッコいい。
これ、「凶悪」で山田孝之演じる藤井が先生の事務所を訪ねたら、数年前の事件を目撃してしまい、そのまま数年前に時世が移る撮り方と同じですよね?
こういうの、僕大好き。
白石監督、やっぱりすごいなぁ。「ピンクとグレー」に出てたのなんでだろう?とか思いつつ。

でもねぇ、僕どうしても許せないところがあるんですわ。

綾野剛って、どこをどう取ったって柔道が強そうに一切見えないよ。せめて、太るか体作りぐらいしてこいや。こういうところ、本当に邦画を見ていてヘコむところね。
だって、柔道で道警を日本一に導いた男が、SEXシーンで見せる身体がガリガリのゴボウなんだもん。そこは、鍛えてくるか、もしくはごまかして欲しかった。
シャブを打つシーンの演技は素晴らしく、今まで見た事のない名シーンになったと思うし、細かい演技は文句なくよかった。
その後の、シャブ中はよく水飲むよね、という何となく分かってしまいそうなペットボトルの水という、小道具使いとかもよかったし。
僕は綾野剛に対して、非常に強い親近感を抱いているんだが、彼を見始めてから一貫して感じる"人に振り回される"演技の上手さは、今回も存分に発揮されてると思う。
だけど、やっぱり彼の細くて弱々しくみえるフィジカルは弱点。「新宿スワン」の駄作たる所以は、彼が強く見えないという一点、そこにもあると思う。

ラストで諸星が、中学生に投げられるシーンは、あれだけ強かったはずの諸星が、覚醒剤で地の底まで落ちてしまったのを表現するはずなのに、見ていて"でしょうね"と思ってしまったのはすごい残念。
「さんかく」の高岡蒼甫の投げられっぷりには、まだまだ及びませんな、あれでは。

あと、YOUNG DAISと小林且弥って顔似てて、最初どっちがどっちか分からなかったよ!
T.K.Oの木下は使わないで欲しかったな。植野がイイ味出していてちょうど良かったのに、木下のせいで完全にリアリティラインが崩れました、僕の中では。

良い感じにエロくて、良い感じにキツくて、良い感じにグロい、ちょうどいい湯加減!っていう、心地よい作品だった。
オチは弱いけど、祭りは終わり方よりも、準備と最中が一番楽しいからいいんだよ!

個人的には、熱湯風呂だけどクセになるジ・エクストリーム「凶悪」の方が断然好みだし、期待し過ぎてしまった感は否めないけど、楽しかったから万々歳で。
また、エクストリームな作品を作ってくれることを楽しみにしています。

一番かっこ良かったのは、めちゃくちゃ日本語の歌がヘタクソな横山健withスカパラのエンディング曲と、公開記念のライブの動画でした。
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