めしいらず

劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそのめしいらずのレビュー・感想・評価

3.1
大きな夢を見据えて一皮二皮剥けた自分になっていく吹奏楽部の高校生たちの青春劇。テレビアニメのダイジェスト版であるらしく、トントン拍子に話が進み過ぎるきらいがあるし、物語自体も類型的ではあるのだけれど、いつの間にか引き込まれていた。選ばれる者と選ばれぬ者、勝ちと負けの間にある非情をきっちり見せつつも、勝ち抜く裏にある努力と迷い、敗れることで成長する人間性も描かれていて素晴らしい。いわゆる”天才”を対立軸に設けて物語をお手軽に推進する浅薄な作品とは訳が違う。一人ひとりの刻苦努力が観客にちゃんと伝わってくる。「悔しくて、死にそう」と言う資格があるのは本気になって取り組んだ者だけであり、その本気さえ超えた先に新たな自分の可能性を見つけるのである。全国大会に向けて部員たちの足取りは一歩ずつ確かになっていく。期待せずに観始めたけれど思わぬ拾い物だった。
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