ノットステア

君の名は。のノットステアのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
2.7
観た日:2019年8月or9月

○感想
あんまりおもしろいと思わなかった。なぜ3年もずれていることにも気づけないのかとか、記憶をなくしてしまう描写で感動させようとしているだけだろうとか考えてしまう。入れ替わる理由もわからない。『君の名は?』と何度も繰り返すのでしつこいなと思ってしまった。ただ絵がきれいなだけの映画。


以下、ネタバレ。ネットの引用

















○登場人物(声)
・立花瀧(神木隆之介)
東京在住の高校2年生。母親はおらず、父親と2人暮らし。いたって普通の平凡な高校生だが、ある時から夢の中で三葉と入れ替わるという不思議な体験をするようになる。絵が得意。バイト先の奥寺先輩に憧れている。
・宮水三葉(上白石萌音)
岐阜県の糸守町という山深い田舎町で暮らす高校2年生。代々土地の氏神様とつながる巫女の家系で、三葉も巫女としての役目を果たしている。東京に憧れる平凡な女子高生だが、瀧との入れ替わり現象に関しては、三葉が巫女であることが大きな要因。
・宮水一葉(市原悦子)
三葉の祖母。巫女としての伝統やしきたりを大切にしており、2人の孫を巫女として教育している。娘の二葉も巫女だったが、病気で早世したため、一葉が2人の孫を育てている。
・宮水四葉(谷花音)
三葉の妹。まだ小学4年生だが、非常にしっかりしており、三葉よりも現実的。
・宮水俊樹(てらそままさき)
三葉の父親。二葉と恋に落ち、宮水の婿養子となったが、二葉の死後、一葉と衝突して家を出た。現在は糸守の町長を務めている。
・勅使河原克彦(成田凌)
三葉の友人で高校の同級生。家が土建屋で、父親は三葉の父親と癒着している。三葉に恋心を抱いているようだが、早耶香とも仲がいい。オカルト好きで無線などにも詳しい。
・名取早耶香(悠木碧)
三葉の親友。いつも三葉と勅使河原の3人で行動している。
・奥寺ミキ(長澤まさみ)
瀧のバイト先の先輩。美人の女子大生で、バイト先の男たちのマドンナ的な存在。三葉と入れ替わった時の女子力の高い瀧が好き。
・藤井司(島﨑信長)
瀧の親友。高校生にしては大人びており、頭もいい。瀧にとっては、頼りになる友人。
・高木真太(石川界人)
瀧の親友。瀧と司の3人で、建物の造りが凝っているカフェを巡るのが趣味。

○あらすじ
【起】
立花瀧は、電車から降りる少女から赤い組紐を渡される夢を見る。少女が「名前は三葉」と叫んだ瞬間、瀧はハッとして目覚める。目覚めた場所は全く見覚えのない和室で、なんと自分の胸が女の子のように膨らんでいた。さらに元気の良さそうな小学生の少女から「お姉ちゃん!ご飯!」と怒られ、何が何だかわからなくなる。鏡の前に立った瀧は、自分が見知らぬ女の子になっているのを見て、驚きの声をあげる。
その翌日。岐阜県の糸守町という山深い田舎町で暮らす高校2年生の宮水三葉は、いつものように祖母の一葉と妹の四葉と朝ごはんを食べ始める。2人は今朝の三葉を見て、「今日は普通だ」とおかしなことを言う。三葉には、何のことかさっぱりわからなかった。
三葉の家は糸守の氏神様を祀る宮水神社の巫女の家系で、一葉も三葉の母親の二葉も巫女だった。しかし二葉は若くして亡くなり、婿養子だった父親の俊樹は、義母の一葉と衝突して、家を出ていた。その後、俊樹は政治の世界に入り、現在は糸守の町長を務めている。そんな俊樹を、一葉はますます嫌うようになっていた。
テレビでは、1200年に1度と言われているティアマト彗星接近のニュースを伝えていた。1ヶ月後には肉眼で彗星の姿を確認できる日がくるらしい。しかし三葉はあまり興味がないようで、身支度を整えて四葉と家を出る。
通学路で、三葉は親友の名取早耶香と土建屋の息子の勅使河原克彦と会う。この2人にも「今日は普通だ」と言われ、三葉は困惑する。
古典の授業中、三葉はノートに「お前は誰だ?」という殴り書きを見つける。三葉は記憶にないが、昨日の自分はまるで別人のようにガサツで、自分の名前さえも覚えていなかったらしい。そう言われてみれば、三葉は別人として生きているような奇妙な夢を見ていた気がする。しかし記憶は曖昧で、詳細は全く覚えていない。
夜、一葉は組紐作りをしながら、2人の孫に代々受け継がれてきたものの大切さを説く。しかし、200年前の大火で、お宮も古文書も全て焼けてしまったため、伝統行事の意味などはわからなくなっていた。それでも一葉は、形だけでも伝統は残すべきだと考えていた。
そんな伝統のひとつに、巫女の口噛み酒というものがあった。巫女装束の三葉と四葉は、神社で舞を奉納したあと、米を口に含んで噛み砕いた液体を升に吐き出す。これが自然発酵して酒になったものを、御神体に奉納するのが巫女の大事な役目だった。しかし三葉の同級生たちは、口噛み酒を気味悪がる。いろいろとストレスの溜まっていた三葉は、「こんな人生は嫌や!来世は東京のイケメン男子になりたい!」と叫ぶのだった。
【承】
翌朝、三葉は東京在住の高校2年生、立花瀧の部屋で目覚める。中身は三葉のままだったが、身体は瀧になっていた。三葉はこの日、瀧として1日を過ごす。
瀧は父親と2人暮らしで、都心部にある高校へ通っていた。友人の藤井司と高木真太は気のいい奴らで、放課後は3人でおしゃれなカフェへ行く。三葉は憧れのパンケーキに感動するが、司たちはカフェの造りに興味があるようだった。その後、バイト先の有名イタリアンレストランへ行き、よくわからないまま必死で働く。そこでは瀧が憧れている美人女子大生の奥寺先輩と対面し、客に破かれた奥寺先輩のスカートを縫ってやる。奥寺先輩はその女子力に感動し、「いつもより今日の君の方がいいよ」と言ってくれる。
三葉はよくできた夢だと思いながら、瀧のスマホに今日の日記を残しておく。その時、古典のノートに書かれていた「お前は誰だ?」という殴り書きのことを思い出し、瀧の手の平にマジックで「みつは」と書いておく。そしてそのまま疲れて眠ってしまう。
翌朝、自室で目覚めた瀧は、身に覚えのない手の平の落書きや、スマホに残された日記に驚く。同じ日、自室で目覚めた三葉も、瀧が残した「お前は誰だ?お前は何だ?」という手の平の落書きを見て困惑する。2人とも、周囲の人たちから「昨日は別人のようだった」とあれこれ話を聞かされるのだが、本人にはその時の記憶がない。そんなことが何度か続き、2人は自分たちが現実の世界で入れ替わっていることに気づく。様々な物証や人々の証言が、これが現実であることを証明していた。
理由は全くわからないが、三葉と瀧は週に数回入れ替わり、お互いの人生を生きていた。互いに入れ替わっている時の記憶は曖昧で、入れ替わりのタイミングはコントロールできない。2人はこの事実を受け止め、それぞれの生活を守るためのルールや禁止事項を決める。2人のコミュニケーションは、スマホ内の日記で取るようにした。2人が直接会ったり、話をしたりすることはなかったが、2人の間には不思議な親近感が生まれていく。
ある日、三葉として目覚めた瀧は、一葉と四葉とともに、宮水神社の御神体に口噛み酒を奉納にいく。口噛み酒の御奉納は、神様と人間をつなぐための大切なしきたり。御神体は、山頂のクレーター跡のような場所にある石造りの祠に祀られていた。一葉の話によると、祠の周辺はあの世であり、口噛み酒は三葉の半分であるらしい。
その帰り、黄昏時の景色を見つめる三葉となった瀧の横顔を見て、一葉は「あんた今、夢を見とるな」と声をかける。その瞬間、瀧は東京の自室で泣きながら目覚める。
その日、瀧は奥寺先輩とデートすることになっていた。瀧になった三葉が、勝手に約束していたのだ。とにかく瀧は急いで着替えて、待ち合わせ場所へ急ぐ。一方、糸守の自室で目覚めた三葉は、何となく寂しい気持ちになり、知らぬ間に涙を流していた。
デートで訪れた写真展で、飛騨地方の写真を見た瀧は、不思議な感覚に襲われる。奥寺先輩は、瀧の変化を敏感に感じ取り、早めにデートを切り上げて帰っていく。ひとりになった瀧は、三葉がスマホに残した日記を改めて読む。三葉は「デートが終わる頃には、ちょうど空に彗星が見えるね」と書いていたが、瀧には何のことだかわからない。ただ、どうしても三葉と話がしたくなり、初めて彼女に電話してみる。しかし、三葉は出ない。
糸守の三葉は、夕方頃に勅使河原から電話をもらう。どうやら三葉は、昨日学校をさぼったらしい。今日は町の秋祭りで、彗星が見られる日でもあった。待ち合わせ場所に現れた三葉を見て、勅使河原と早耶香は驚く。三葉は長い髪をバッサリ切っていた。
祭り会場の近くで、三葉たちは上空に輝く彗星を見上げる。その時三葉は、彗星が分裂し、その破片が軌道を外れて落下していくのを見る。そして三葉の世界は暗転する。その日から、瀧と三葉の入れ替わり現象が止まる。
【転】
入れ替わり現象がなくなると、三葉へのメールや電話も通じなくなる。瀧は、自分の記憶や飛騨地方の写真を頼りに糸守の風景を描き、その絵を持って三葉を探す旅に出る。そんな瀧を心配した司は、奥寺先輩を誘って、無理やり旅に同行する。瀧は糸守という地名すら覚えておらず、手がかりは彼の描いた絵だけだった。
当然ながら、なかなか目的地にはたどり着けず、瀧は三葉を探すのをあきらめかける。そんな時、偶然入ったラーメン屋のおばちゃんが、瀧の絵を見て「これは糸守やね」と教えてくれる。おばちゃんの夫であるラーメン屋の店主は糸守出身だった。
糸守と聞いて、司と奥寺先輩は驚く。糸守は、3年前に彗星の破片が落ちて壊滅的な被害を受け、500人を超える住民が犠牲になっていた。午後8時42分、秋祭りで多くの人が集まっている場所の近くに破片が落ちたことで、被害が拡大したのだ。
瀧はラーメン屋の店主に車を出してもらい、今は誰も住んでいない糸守へ行ってみる。そこは、確かに三葉として過ごしたあの町に間違いなかった。しかし、司や奥寺先輩は、瀧の話が信じられない。瀧はこの話を証明するため、スマホ内にある三葉の日記を見せようとする。すると、三葉の日記は文字化けし、あっという間に消えてしまう。犠牲者名簿には、勅使河原と早耶香、一葉と四葉、そして三葉の名前もあった。数週間前まで自分と入れ替わっていたはずの三葉が、3年前に死んでいたという事実に、瀧は言葉を失う。
その夜3人は、糸守近くの宿に宿泊する。瀧は、今までのことは全部妄想なのかと悩んでいた。すると、瀧の記憶から三葉の名前まで消えていく。お守りとして腕に巻いている組紐を見て、「紐は時間の流れそのものだ」という一葉の言葉は思い出せるのに、その組紐を誰からもらったのかは思い出せない。しかしその言葉を思い出したことで、瀧は御神体に奉納した口噛み酒のことを思い出す。
翌朝、瀧は2人に置き手紙を残し、ひとりで御神体のある山頂へ向かう。そこには記憶通りの祠があり、瀧はやはり三葉のことは夢ではなかったのだと確信する。瀧は祠に入り、苔むした徳利を開け、三葉の口噛み酒を飲む。そこで後方に転倒した瀧は、祠の天井に描かれた彗星の壁画を目にする。そのまま瀧は不思議な世界に引き込まれ、そこで三葉の17年の人生を見る。瀧は彗星が落ちた日の三葉に、必死で逃げるよう呼びかける。
そして瀧は、3年前に彗星が落ちた日の三葉になって目覚める。一葉はすぐに孫の異変に気付き、「あんた、三葉やないな」と声をかける。実は一葉や二葉も、同じ経験をしたことがあったのだ。瀧は、宮水の巫女が代々入れ替わりの夢を見てきたのは、今日のためではないかと考える。そして、今夜糸守に彗星が落ちてみんな死ぬのだと告げる。しかし一葉は、そんな話は誰も信じないとそっけなく答える。
瀧(姿は三葉)は勅使河原と早耶香に今夜起きることを話し、住民を避難させるための計画を立てる。高台にある糸守高校は安全なので、避難場所は高校の校庭に決め、瀧は町長の俊樹と話をしにいく。瀧は今夜起きることを説明し、夜までに住民を避難させるよう俊樹を説得するが、相手にしてもらえない。病院へ行けと言われ、カッとなった瀧は、三葉であることを忘れて俊樹につかみかかる。すると俊樹は驚愕の表情を浮かべ、「お前は誰だ?」と瀧に問いかける。俊樹は、娘の中身が別人であることに気づいたようだった。
瀧は四葉に、「昨日は急に東京へ行ってしまうし、お姉ちゃんおかしい」と言われ、急いで山頂の御神体へ向かう。祠の中では瀧になった三葉が目覚めていた。外へ出た三葉は山頂から糸守の町を見て言葉を失う。ここは3年後の世界で糸守の町はすでになくなっていた。三葉はあの夜自分は死んだのかもしれないと気づき愕然とする。
【結】
必死に山頂へと自転車を漕いでいた瀧(姿は三葉)には、「瀧君、覚えてない?」という三葉の声が聞こえていた。
3年前、彗星が落ちる日の前日。三葉は瀧に会いたくて東京へ行った。しかし、瀧の携帯は繋がらず、三葉は瀧と会えない。諦めかけた時、三葉は偶然電車に乗っている瀧を見かけ、その電車に飛び乗る。そして勇気を出して、「瀧君、覚えてない?」と声をかける。しかし、3年前の瀧(中学2年生)はまだ三葉と出会っておらず、彼女が誰なのかわからない。三葉ががっかりして電車を降りた瞬間、瀧はハッとして「あなたの名前は?」と呼びかける。三葉は「名前は、みつは!」と答え、髪を結んでいた赤い組紐を手渡していた。
瀧は、今やっとその時のことを思い出していた。そして山頂に到着し、大声で三葉を呼ぶ。瀧になってそこにいた三葉はその声に気づき、大声で瀧を呼ぶ。しかし、2人の間には3年の時差があるため、互いの姿を見られない。ところが、空が黄昏時になった瞬間、2人は3年の時空を超えて出会うことができる。その時、瀧は瀧に、三葉は三葉に戻っていた。瀧は三葉からもらった組紐を彼女に返し、これからやることを説明する。黄昏時が終わりかけた時、目が覚めても忘れないように、2人は手の平に名前を書き合うことにする。しかし瀧の手の平に「みつは」と書く前に、黄昏時が終わり、三葉の姿も消える。そしてすぐ、瀧の記憶は薄れていく。
町へ戻った三葉は、勅使河原と発電所を爆破し、町を停電させる。早耶香は高校の放送室で町役場の防災無線を電波ジャックし、住民に糸守高校への避難を呼びかける。しかし、途中で電波ジャックの場所を特定され、放送を止められる。まだ避難は十分ではなく、三葉は父親を説得するために走る。走りながら三葉は、忘れたくない人のことを忘れていく自分と戦っていた。瀧の名前は記憶から消えてしまったが、三葉は手の平に書かれた「すきだ」という文字を見て、忘れたくない人への恋心をはっきりと思い出す。勇気を得た三葉は、ずっと遠慮してきた父親と対峙する。一葉と四葉も、父親のもとを訪れていた。そして8時42分、糸守に彗星が落ちる。
それから5年後。東京の瀧は、就職活動で忙しい日々を送っていた。瀧は三葉の名前も、糸守での出来事も忘れてしまっていたが、誰かを探し続けている感覚だけは残っていた。
彗星の落下で糸守の町は消滅したが、あの日偶然にも町をあげての避難訓練が行われており、住民は奇跡的に全員助かっていた。その当時、瀧はなぜかこのニュースが気にかかり、その詳細を熱心に調べていた。しかし、なぜそんなに糸守のことが気になったのか、瀧本人にもわからなかった。
そんなある日、瀧はとあるカフェで結婚の相談をしている勅使河原と早耶香を見かける。瀧は2人のことが気になるが、それがなぜなのかはわからない。
また月日は流れ、無事に就職の決まった瀧は、出勤のため電車に乗っていた。その途中、すれ違った電車の車内にいた女性と目が合う。それは、東京で暮らしていた三葉だった。2人は強い想いに突き動かされ、電車を降りて互いを探す。とある神社の階段で2人は出会い、すれ違った直後に瀧の方から「あの、俺、君をどこかで」と声をかける。振り返った三葉は涙を流し「私も」と答える。瀧の目からも自然に涙が溢れていた。そして2人は同時に「君の名前は?」と尋ね合うのだった。



○印象的な言葉
・三葉「もう私、この町いやや。狭すぎるし濃すぎるし、さっさと卒業して早く東京行きたいわ」
早耶香「まあなあ、ホントに何もないもんなあ、この町」
・三葉「もうこんな町いやや!こんな人生いやや!来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!」
四葉「アホな人やな」
・瀧(三葉)「ああ、えーと、わたし・・・」
高木「わたし?」
瀧(三葉)「あっ、わたくし」
高木・司「ん?」
瀧(三葉)「僕?」
高木・司「はあ?」
瀧(三葉)「俺?」
高木・司「うん」
・一葉「三葉、四葉、ムスビって知っとるか?」
三葉(瀧)「ムスビ?」
一葉「土地の氏神様をな、古い言葉で産霊(むすび)って呼ぶんやさ。この言葉には、ふかーい意味がある。糸をつなげることもムスビ、人をつなげることもムスビ、時間が流れることもムスビ。全部、神様の力や。わしらの作る組紐もせやから神様の技。時間の流れそのものを表しとる。より集まって形を作り、ねじれて、からまって、時には戻って、途切れ、またつながり、それがムスビ、それが時間」(一葉は、三葉と四葉と一緒に宮水神社のご神体のある山の中を進んでいく。道中で一葉が語るムスビについての言葉。三葉と体が入れ替わった瀧は、まさにムスビを体感していた。あとで瀧は一葉のムスビについての言葉を思い出す。)
・一葉「水でも米でも酒でも、人の体に入ったもんが、魂と結びつくこともまたムスビ。だから今日のご奉納は、神様と人間をつなぐための大切なしきたりなんやよ」(山奥にある宮水神社のご神体に口噛み酒を奉納に向かう一葉たち。一葉は、三葉と四葉にムスビについて語る。この時に奉納される口噛み酒は、のちに瀧と三葉を結びつける重要な役割を果たす。)
・一葉「おや、三葉。あんた今、夢を見とるなあ?」(口噛み酒を山奥にある宮水神社のご神体に奉納した一葉たち。帰り道でたそがれ時の糸守町の美しい眺めを見る三葉(中身は瀧)。一葉はそんな三葉の様子を見て、三葉の中身が三葉ではないことに気づく。)
・瀧「ムスビ・・・。本当に時間が戻るんなら、もう一度だけ」(瀧と三葉の体の入れ替わりが止まってしまう。三葉のことを調べた瀧は、3年前に糸守町に落ちた隕石によって、三葉は亡くなっていたことを知る。瀧は口噛み酒を奉納した宮水神社のご神体に向かい、口噛み酒を飲むことで時の流れをさかのぼろうとする。)
・四葉「ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバイよ。ヤバい…」(三葉との入れ替わりが止まってしまった瀧は、3年前に糸守町に落ちた隕石によって、三葉は亡くなっていたことを知る。何とかもう1度入れ替わろうと、三葉が作った口噛み酒を飲んだ瀧は、隕石が落ちる日の三葉の体と入れ替わる。三葉の体となった瀧は、胸をもんで入れ替わったことを確認しながら、再会した四葉に涙を流しながら近づいていく。そんな三葉の様子を見た四葉は、「ヤバい」とつぶやきながら登校していく。)
・三葉の声「急に訪ねたら迷惑かな?驚くかな?瀧くんは嫌がるかな?会えっこない。でも、もし会えたらどうしよう。やっぱり迷惑かな?気まずいかな?それとももしかしたら、少し喜ぶかな?会えっこない。でも、確かなことが1つだけある。私たちは会えば絶対すぐに分かる。私に入ってたのは君なんだって。君に入ってたのは私なんだって」
・瀧「あのさあ、あんたの名前…」
三葉「三葉!名前は三葉!」
三葉が髪を結んでいた組紐を渡す
・瀧「言おうと思ったんだ。おまえが世界のどこにいても、俺が必ずもう一度会いに行くって。君の名前は三葉。大丈夫、覚えてる。三葉、三葉、三葉、名前は三葉!君の名前は!(手に名前を書こうとするが思い出せない)おまえは、誰だ?俺は、どうしてここに来た?あいつに・・・あいつに会うために来た。助けるために来た。生きていて欲しかった。誰だ?誰?誰に会いに来た?大事な人、忘れたくない人、忘れちゃダメな人!誰だ?誰だ?誰…誰だ!名前は!?」
・三葉の声「誰?誰?あの人は誰?大事な人、忘れちゃダメな人、忘れたくなかった人!誰?誰?君は誰?君の名前は?」(瀧と会った三葉は、隕石が糸守町に落ちることを聞く。何とか町民を助けようと、町長である父の元に走っていく三葉。だが、走りながら三葉は、瀧の名前を思い出せない自分に気づく。瀧も同じように三葉の名前が分からなくなってしまっていた。)
・瀧の声「それは、まるで夢の景色のように、ただひたすらに美しい眺めだった」
・「手のひらに書かれた「すきだ」の文字を見て、)三葉「これじゃあ、名前わかんないよ」(隕石が糸守町に落ちることを瀧から聞いた三葉は、何とか町民を助けようと町長である父の元に走っていく。だが、走りながら三葉は、瀧の名前を思い出せない自分に気づく。つまずいて転んだ三葉は、手のひらに名前を書いてもらっていたことを思い出す。だが、手のひらには、「すきだ」という言葉。)
・瀧の声「今はもうない町の風景に、なぜこれほど心を締めつけられるのだろう」
・瀧の声「ずっと誰かを…」
三葉の声「誰かを…探していた!」(かつて体が入れ替わる現象が起こっていた瀧と三葉。時が流れ、2人ともそのことは忘れて生活していたが、ともに誰かをずっと探しているという感覚に囚われながら生きていた。そんな2人が、並走する列車の別々の車両から互いの姿を見る。そして、ずっと探している誰かを見つけるのだった。)
・瀧「あの!俺!君をどこかで!」
三葉「私も!」
瀧・三葉「君の名前は?」(互いのことを忘れながらも、誰かをずっと探しているという感覚に囚われながら生きてきた瀧と三葉。並走する列車に乗る互いの姿を見かけた2人は、電車を降りて町を探し回る。階段でついに出会った2人は、互いの名前を聞く。)