セリー

君の名は。のセリーのネタバレレビュー・内容・結末

君の名は。(2016年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

8年前の上映直後、流行りに乗って映画館へ駆け込んだ。高校生だった私はスクリーンに刻まれていく繊細な光に釘付けだった。劇場を出たあと、「かたわれどき」の空を眺めて、500人全員が助かる世界で彗星が流れることを想像した。その想いは今も変わらない。

8年前の私が三葉だとすれば、8年後の私は瀧である、あるいはその逆である。刹那のうちに人格は変わっていく。それが今改めて鑑賞し、新たに感じたことだ。
三葉も瀧も架空の人物であるが、私のなかで彼/女は存在している。つまり、明日になれば三葉になっているかもしれないし、瀧になっているかもしれない。 
作中において、人と人をつなぐものとして「糸」という比喩が提示される。糸は私と他者をつなぐものであり、私における別の私(三葉や瀧)をつなぐものでもある。そして、両者のつながりを守っていく(創造していく)ことこそが、「糸守町」というある種の世界なのだ。
私ではない別の誰かに「入れ替わる」というリアリティを、壮大かつ幻想的に描いた作品が本作であるように思う。
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