ラッキーマウンテン

君の名は。のラッキーマウンテンのネタバレレビュー・内容・結末

君の名は。(2016年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

初レビュー。
興行記録がすごいことになっているようだけれど、それだけの価値はある。
2016年時点の日本における最高峰のオリジナル長編アニメーション作品ではないだろうか。

思想の匂いが全くしない、普遍的なストーリー。
真横から見たドア・扉に暗喩される作品世界。
物語の核でありながらも、鑑賞を妨げない程度に薄められた宗教観。
圧倒的な視覚効果と演出。
主人公たちを立たせつつ、しっかり物語に溶け込む脇役。
あまり特徴がなく、それでいて自然な声優の演技。
よくもここまで良い材料を揃えてバランス良く料理できるものだなぁと感心するばかり。
話とは関係ないところで何度か涙した。

日本アニメ史に詳しいわけではないけれど、ジブリや今敏、細田守等が紡いできた日本のアニメーションの歴史を確実にアップデートしたと思う。
テレビアニメの延長線上でもなく、いわゆるAnimeからは離れたアート寄りのアニメーションでもない、Animeらしさを臆することなく前面に押し出した、日本人にしか作れないアニメーション。

唯一気になったのは「お前は誰だ?」に対して三葉が瀧の腕に返事を書いた点。
こいつと入れ替わってるんだな、と理解するのが早すぎる気がした…。
あとは瀧が消えた村か御神体の淵(記憶があやふや)に辿り着いた際、走って近付いているはずなのに全く近付いて見えなかった。
でも、そんなことはどちらもへそのゴマみたいなものでしかない。
そのくらい満足度の高い作品だった。