まねきねこ

君の名は。のまねきねこのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
4.5
青い空、のどかな田舎の風景、神社、青春時代。そして自然災害。日本人の琴線に触れる要素がたくさん詰まっている。ヒットしたのも納得です。
僕が一番共感したのが、瀧くんが糸守村に関する記事を読みあさっている場面。自分の心のモヤモヤとか、いくらケータイで検索したって答えなんて見つかるはずがない。でもひたすら、何かに取り憑かれたように調べ続けなければならない。
瀧くんの記憶の中から、彗星衝突という大災害の記憶が無くなっているところは、なるほどなと思った。どんな大きな災害が起きても、自分に直接被害が無かった場合は、記憶は次第に薄れていく。しかし瀧くんは三葉を体験したことにより、やっと糸守村に関心を持てたのだ。彗星衝突から3年が経った時にはすでに忘れていたのに、三葉を体験してからは5年経っても糸守村に心が取り憑かれていた。
確かに切なくはあるが、この切ない気持ちは、この物語がただ恋愛を語っているからでは無く、関心を持たなければ自分が孤独であることすら知らないまま生きていると言うことを、改めて突き付けられたからだ。僕は今晩眠っても、別の誰かになる訳ではない。僕はずっと僕でしかない。だから能動的に他者に関心を持つように心掛けていかなければならない。
美しい映像と、牽引力のある音楽を楽しむ中で、ふとそんなことを思い、少し泣いてしまいました。良い映画でした。