らんどう

君の名は。のらんどうのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
4.0
地上波放送で鑑賞。レンタル開始直後に一度見たので、二回目になります。

前回見たときもそうだったんですが、感動して泣いちゃいました。

でも正直、「映画」として面白いという感じではないんですよね。お話自体も珍しい内容でもないと思うし、人物描写も微妙だし、終わった後の余韻も残らないんですね。だから、感動してしまうことが、なんか悔しいんですよ。なぜ泣くのか。

思ったのは、やっぱり音楽の力に感動している気がするんですね。なんか、音楽に感情をコントロールされているというか。
しかしよくある、音楽は良いのに内容が駄目な映画とは違うと思うんです。
この作品って、映画に合わせて音楽をつけていくんじゃなくて、音楽に映画を合わせていってる感じがするんです。だから映画と共に音楽も終わると、一気に冷めるというか。音楽という魔法が解けてしまったとでも言いますか。終わった後、あんまり自分の中に残るものが無いんですよ。ある種、騙された感じ、それが悔しい原因かもしれません。

とは言ったものの、音楽抜きで感動するポイントがないわけじゃないです。

三葉が東京に瀧を探しに行くシーンでの、彼女の心の声にぐっときました。三葉の中で瀧に対する気持ちがどんどん高ぶっていくのがわかる良いシーンです。見るのは二回目だったので、先に待ち受けることを思うと可哀想な気持ちになりました。

もう一つは、交わるはずのない2人が出会うシーンです。ここは最大の感動ポイントですよね。

ここからはちょっと苦言。

この話のキーとなるのは隕石だと思うんです。作中の描写にもあるように、隕石の衝突が二人を結び付けたと解釈したんですが、それがなんか嫌な感じがしました。
隕石の衝突がもたらすものは、破壊そして死です。それをロマンチックなものに改変しようとしている気がしました。うまく言えないんですが・・・。

これは苦言と言うか、こうであってほしいことですが。

先ほど述べた、交わるはずのない2人が出会うシーンですけど、ラストでは忘れたままという設定にしてほしいです。

2人の気持ちが最も通じ合ったのはあの一瞬だけ。二度と思い出すことはない。そのほうがロマンチックだと思うんですよ。儚いじゃないですか。
そういう設定を作中に入れてくれれば余韻も残ったと思いますね。

なぜ3年?なぜ5年?とか、コケる演出がこてこてすぎるとか、細々とした不満もあるにはありますが、まあ、なんだかんだで感動させられるのが新海誠マジックなんでしょうね。