あぬ

君の名は。のあぬのネタバレレビュー・内容・結末

君の名は。(2016年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

本編の他に小説版や外伝も読破してしまったのでもはやこれ単体で評価できませんがご承知おきを。

結び。
ふたつの糸を繋げて結び。
結び目は太くなり固くなり。
それが幾層にも或いは河のようになり今に流れつく。
人と人とのそんな結びを感じた作品でした。
時の上流は神話に帰結します。
地域の伝承であったりそれに纏わる人であったり。
そんな想いを結んで今に辿り着いた、それぞれの結び目が物語になっていました。

外伝ではその民俗学にまで言及されています。
まぁ地域含めフィクションではあるのですが、その設定が本編に生きてくるのが堪らなく爽快です。
外伝に散りばめられた伏線の回収も本編でしっかり行っておりますが、結局はそういったメディアミックスありきなところもあります。多分こちらは本編をより楽しむ為のドレッシングみたいなものだと思うんですが、その割にはウェイトが重かったような気がします。個人的にはこういう神話やら伝承やら民俗学は大好物なので大歓迎です。それに肉付けされたストーリーは更に重厚さを増して凡そ本編のみでは想像もつかないほど食べ応えがあります。

さて、物語は新海誠作品にありがちな絶望感ってモノが微塵もありません。
微塵もない分安心して観られる一方でなんだか本当に新海誠なのか、と疑いたくなる部分もありますよね。でもやっぱり笑顔になれる終わり方は好きです。
マジョリティに成り果てた、ではなく新海誠がマジョリティモノを作ったらこうなった、っていう一つのリザルトではないでしょうか。

人は皆人生という河を泳ぐ上できっと何かを探してるんです。それがこの作品だとたまたま誰かであったわけで。その誰かという結び目に対する問いが丁度最後のセリフに繋がるんでしょうね。
あぬ

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