はせしゅん

何者のはせしゅんのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
4.5
桐島同様に誰かと語りたくなる映画。

原作者があの桐島部活やめるってよ
と同じという事
また少し前まで就活だった身として気になっていた作品。

SNSの凶悪性(ツイッター)から見える人間の底知れぬ悪意と自分の道を何を言われようと、後ろ指差されようと切り開いて行く事の強さを体験できる映画。

宇多丸さんの言い回しにはなるが、
自分の価値観で話し、他人を客観的にみてる自分を丸々客観的に嫌な見せ方をして見る人の心をえぐる。
この映画は青春ハッピーな映画じゃないです。マジで。
就活生の話でしょとタカをくくってると痛い目見ますよ。
だって誰でも嫉妬した事ありますよね?
人生について他人と比べてしまう事ありませんか?
そういう事についてホラー映画のようなスタンスの映画です。
人間怖いよ系ホラーですよ。
でも最後に希望が残る終わらせ方にしてるのが素晴らしいですけど。


私自身、就活中はベンチャー系を目指してみたり、他の人と違う事し、まるで自分は全てを知っているかのように振舞っていた。
そうしないと立っていられないから笑

友達に内定が出ようものならその会社について調べて見たりしましたよ笑
その行動の根源は悪意でしたよ。

友達で就活をして無い人がいて、自分のやりたい事をやるから就活なんてしない!といった感じで、カッコいいな!羨ましいな!と思いつつ将来痛い目見やがれと悪意を抱いた事もありました。
映画でいう烏丸ギンジですよ。

桐島で言う神木くんですね。
ちょっと桐島の話になりますが「好きだからやってるんだよ。」と神木君に言われ落ち込む東出くん。
あのやり取りと似た感じが今回の何者の烏丸と佐藤健の関係で言葉ではなく映像で体現される。これが映画体験ってヤツです。
まぁ落ち込む東出くんとは違って佐藤健は悪意を剥き出しにしますが、でもより人間臭いですよね。
自分には出来ない事を貫き通す人には嫉妬しちゃいますもん。

さて、個人的な事を書いてしまいましたが、何者では色んな人が出て来ますよね。
それぞれタイプの違う人が。

なかでも山田孝之なんですが、SNSに依存しない。烏丸ギンジ的な立場と言っていい感じで登場しますが、彼はしっかりと人をよく見てる人で言いたい事は言うタイプですよね。だからSNSを使ってないのかな?
その証拠に彼はガラケーです。多分。
暗くて見づらいですがカップ麺の上に重石代わりに置いてるのがガラケーっぽかったです。彼もただの院生のくせにって感じはあるんですが…

まだまだ語りたいのですが主題歌について話したいのでこれを最後にしますね…
主題歌が田中ヤスタカと米津玄師なんですが、これも皮肉な事に自分の好きな事をとことん突き詰めた人ですよね。
まぁ映画全体そうなんですけど、何かをひたすらにやって来た人が演じて製作して映画を作ってるんですよね。

一斉就活で人生が決まるわけでは無いんですよ。
僕の周りにも「この時代に就活しないとかヤバイだろ」って言ってた人がいますが、この時代だから就活しない道もありなんですよ。と僕は言いたい。
そう言う奴は是非何者を見て頂きたい。

なんかレビューって、感じじゃないですね。

自分が否定された気分になる就活を題材にしながら否定も肯定もしない映画。
あっぱれです。
就活という「舞台」を題材にした、元々舞台監督だった三浦大輔監督。この原作とのマッチッングはバッチリですね。

自分は何者なのか、何者になりたいのかといった人生観についての問いかけ的な映画であり、青春から社会に投げ出される子羊たちはどんな戸惑い方をするのかをある種のホラー的に描き、最後には清々しさが残る素晴らしい作品でした。
是非見て下さい。

p.s
この文章を恐ろしいツイッターに投稿する私も何者になりたいのだろう…