あらた

レッドタートル ある島の物語のあらたのレビュー・感想・評価

4.6
ほぼセリフのないジブリによる実験的アニメ。
ストーリーはシンプルだが、ともかく映像が美しく、どの場面を切り取っても1枚の絵になる。
映画館に観に行けば良かったと後悔中。

この映画は「神の視点」から描かれているのではないだろうか。
蟹や亀や魚の命と等価値に人間を捉え、遥か高みから観察をする。そういった超越的な神の視点である。
その証拠にこの映画では地上を高所から見下ろす構図やロングショットがとても多い。
また、セリフらしいセリフがないのも、登場人物の声を言語としてではなく、ヒトの鳴き声として捉えているからのように感じられる。
こうした神の視点から人間を根源的に描いたからこそ、この上なくシンプルな物語なのに、人間賛歌を超えて生命賛歌として私の胸を打ったのだと思う。
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