魔法の三味線を奏で、折り紙を自由自在に操る能力を持つ少年 クボ。彼は崖の洞穴で衰弱した母と暮らしている。しかし、クボの前に恐ろしい2人の叔母が現れる。叔母たちは、クボの祖父 月の帝の指示でクボを狙っていた。母は最後の力を振り絞ってクボを逃がす。クボが目を覚ますと、そこには雌のサルがいた。そのサルは、自分はクボの母の魔法で命が宿ったサルのお守りだ という。クボはサルと途中で出会ったクワガタと共に、月の帝を倒すために3つの秘宝を求めて旅に出る。
ナイキ創業者のが設立したストップモーションアニメーション制作会社 ライカの4本目の長編作品。ナイキ創業者の息子であり、ライカのCEOでもあるトラヴィス・ナイトが監督を務めた。
第89回アカデミー賞において、長編アニメ映画賞と視覚効果賞にノミネートされ、第70回英国アカデミー賞ではアニメ映画賞を受賞した。
まずはこのアニメーションの出来の凄さでしょう。ストップモーションだということを忘れてしまうほど滑らかな動きをしています。そしてアニメーションの質感や幻想的な風景など、ホントに息を呑むほど美しい映像に仕上がっていました。エンディングでちょっとだけメイキングが見れましたが、相当な手間暇をかけて制作したのがわかります。
ストーリーとしては、王道な冒険譚となっており、老若男女誰でも楽しめる設計になっています。王道すぎて味気ない感も否めませんが、親子の関係や死生観などもしっかりと描かれているため、大人でも楽しめるかと思います。
灯篭や呪いなどの要素、見事な風景などなど、和の雰囲気が非常に色濃くあり、しかもそれがなんちゃって日本じゃないってんだから素晴らしい。監督は黒澤明や宮崎駿を敬愛しているらしく、日本への愛を感じました。
声を当てているキャスト陣も、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラ、レイフ・ファインズと中々豪華ですが、ここまで日本要素強かったら、吹き替えで観たくなるということで、今回は吹き替えで鑑賞しました。初代野原しんのすけの矢島晶子、先日亡くなられた田中敦子。この2人はさすがですね。田中敦子の声はめちゃくちゃ好きだったので、寂しいですね。芸能人枠のピエール瀧や川栄李奈もめちゃくちゃ上手かったと思いました。
幻想的で美しいアニメーション、ちゃんと表現されている日本要素。これらがホントに見事で、わかりやすくもグッとくるものがあるストーリーも良くて、ホントに魅入ってしまう作品でした。これはライカの他の作品も気になります。