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KUBO/クボ 二本の弦の秘密のFrafillのネタバレレビュー・内容・結末

KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

映像がとにかく美しかった。非常に深く日本のことを研究していて、細かいところまで当時の生活が再現されていた。また、海や森などの自然風景も、CGかと思うほど緻密で繊細に表現されており、これをストップモーションでやっているというのだから、脱帽だ。日本でないところからこんなに日本ぽいものが出てきてしまったことが少し悔しい。
敵キャラは少し気味悪く、小さい子が見たらちょっと怖いかも知れない。ティム・バートン監督作品が観られるなら、大丈夫だと思う。親子の絆を感じられる作品なので、家族で観たら、より楽しめそうだ。
「月の帝」や「双子の姉妹」などの月のひとは、竹取物語の設定がもとになっているのかな?と思った。劇中に有名な浮世絵に似たシーンもいくつかあった。日本人として、観ていて嬉しくなってしまう。

映画のチラシを見た感想としては、荒波を背景にクボが立っている絵は、うまく表現できないが、ぱっと見ると少し重く暗い内容に感じるので、個人的にはもっと明るいものにしてほしかった。そうすればもっと多くのひとに目に止めてもらえるのではと思う。
また、お母さんが「かつて犯した悲しい罪」との説明があったが、罪と言うべきではないと思った。月のひとたちにとっては罪でも、クボやお父さんにとっては、違うから。

そして重箱の隅をつつくようだが、村人たちの顔立ちと、城のデザインが多少チャイナ風だったのも気になった。ラスボスも火を吹くコケコッコーだと思っていたが違った(笑)。

全体のストーリーを考えると、色々な伏線を散りばめすぎて、それを回収しきれず終わった印象が強かった。自分でも細かいことは気にせず楽しめばよいのではとも思うが、大人になってしまったからだろうか…。いくつか気になる点が残ってしまった。

まず、「月の帝」と「双子の姉妹」たちは何故月に住むことになったのか?描写がなく、気になった。もともと、普通の人間とは異なる存在として月に住んでいたのだろうか。クボのお母さんも折り紙を操る力があったので、月のひとは皆そうなのかも知れない。月に住むと永遠の命を得られるようだが、この映画のテーマが「わびさび」ということらしいので、それと対比して表現したのだろうか。

そして、なぜ「月の帝」はクボの目がほしかったのか?クボの目に何か特別な力があるのかと思ったが、そこは最後まで明かされなかった。気になったのは、最初「月の帝」の目は両方白かったのに、最後普通の人間になったときは片目が黒かった…。それってもしかして昔クボから奪った片目…?「双子の姉妹」たちも、「月の帝」がクボの目を必要としてると言っていたし、何かに使おうとしていたのでは?…気になる。

それから、お父さんお母さんの最期があまりにもあっけなかった。家族感動の再会シーン直後だったので、せめてもうちょっと引き延ばしてほしかった…。
「双子の姉妹」たちが過去にお父さんを殺さなかったのは何故だったのだろう。本当は既に死んでいて、クワガタはお母さんが猿と同時に生み出した幻だったのかと思ったが、「双子の姉妹」たちがいきさつを丁寧に説明していたので違うようだ。
クワガタのとんちんかんな言動は、月のひとの妖術が原因なのだろうか。お母さんも、最初の荒波シーンで月のひとから攻撃を受けてから、記憶が途切れて頭がおかしくなってしまっていた。月のひとにはそういう能力があると思われる。

最後に、クボは三種の神器みたいなものを集めるようお母さんに言われて、死に物狂いでそれらを集めたけど、結局最後には全部脱いで、三味線だけで「月の帝」に対抗した。何のために集めたんだ…。別に集めないで最初から三味線ジャーンすればよかったのでは。何か特別な状況でないと使えない技だったのだろうか。

色々気になるので、もう一回観たい。しかし、こうして気になりまくってしまうのも、没入して観入ってしまっていたからこそ。DVDにメイキング映像がついているなら、それも観たい。
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