スローターハウス154

ホームレス ニューヨークと寝た男のスローターハウス154のレビュー・感想・評価

3.7
2020/3/1

ネオンきらめきジャンズ高鳴る花の都に生きるこの仕事ヤリ手スタイリッシュマンが家を持たない...なんて、きっと“ミニマリスト”の局地という高みから説法垂れるつもりなんだろ?..という先入観にいぶかしみつつ、早送りをして観た。ら。思ったよりもその生活の惨めさを主体に描いた作品だったので、わりと面白く観れた。このスタイリッシュマンはなにも“ミニマリスト”になりたかったわけではないらしく。どうやら彼は各地を行き来しながらの安定しない仕事をしているらしい。だからそもそも家に帰る暇もないし、稼ぎも安定しないのでアパートやホテルにかけるだけのお金がない...というどちらかというとやむにやまれず家を持てない境遇におちいってしまったようだった。それもこれも、自分がやりたいと思える仕事をしているからこそ。嫌な仕事を我慢して屋根のある生活を選ぶくらいなら、人知れず屋上の一角で寒さに震えながらビニールにくるまって寝る生活の方がマシだ....という漢意気?を感じさせられた。
このホームレスな日常は自分で選んだ道だから、誰からも同情を受けるつもりはないのでみんなには秘密にしている、母親にもだ。恋人も作れない、生活が安定してないから誰かを愛する余裕すらないからだ。時々こっそり泣いてしまう。まだ大丈夫だとは思っていたけれど、ほんとはちょっと、いやわりと苦しかったりする..。要するに呆れるほど見栄っ張りな男のホームレス生活の話。まあ、こういう生き方もあるんだなと勉強になりました。