囚人13号

おばあさんの虫眼鏡の囚人13号のレビュー・感想・評価

おばあさんの虫眼鏡(1900年製作の映画)
3.0
これも通俗的な情報でしかない、確かにクロースアップで間違いないのだがこの辺の発明者は曖昧であった方が映画史的な美学が深まるようで好ましい気がする。

メリエスと同時代の映画人、彼らは撮影中は動かせないカメラも一旦それを止めてまた別の画角から撮る、トリックだけではなく一貫性の維持という点からして短いショットを挿入してみたり、主観位置に据えてみたりと確実にモンタージュの概念が芽生えつつある。映画は制止(カット)の連続から創られるものだと気づき始めているのか、ただしここでのアップは作品がそれ自体を確かめる実験映画のようになっていて、有り得ないサイズの虫眼鏡から覗いた光景…というより対象を際立たせるべく円形に切り取られた画面内に光景が映し出されている。唯一、最初のクロースアップらしい大写しが「眼」という事実は安直な選択であったにせよ、これによって実験映画と人体パーツのアップが密接な関係を築いていくこととなるのだから結構重要。
囚人13号

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