タクシー料金を踏み倒した若者二人が運転手に何処までも追い掛けられるフランス産のアクション・スリラーです。
久しぶりにパリに戻って来たクリスは、再会した旧友リュックとパーティーで深夜まで飲み明かし、リュック御友人の家で二次会をしようとタクシーに乗り込む。だが、目的地に着いた時、調子に乗ったリュックが料金を踏み倒して逃げた為、クリスも仕方なくその後を追う。しかしパリの街を逃げ回る二人を不気味なタクシーが執拗に追い詰めていく…というストーリーになっています。
アホな若者二人が不気味なタクシーとその運転手にパリの街を追い掛けられまくるという「激突!」に似た内容ですが、こちらの主人公二人は料金踏み倒した上に、追い掛けてきた時に罵声浴びせたりしてどう考えてもこっちに非があるクズで、同情の余地はありません。更にクリスが2年前に突然パリを離れる事になった何やら後ろ暗い過去がある事もちょいちょい意味深に匂わされます。また、クリスの元カノが今はリュックと付き合っているという面倒くさい三角関係もちょこっと絡んで来たりもします。
前半のどこに行こうともタクシーが不気味に付け回してきて、先回りしてくる所は「激突!」的な怖さ不気味さがありますね。道路で二人の周りグルグル回る所も、降りてきたりせず周ってるだけなのも何とも言えない不気味さ感じます。
二人が屋内に逃げ込むとタクシー運転手も車降りて追い掛けてきますが、筋肉モリモリマッチョマンで、イカツイ刺青してて威圧感半端なくマジで強そうに感じます。帽子目深に被ってて、顔の下半分しか見えず、一切言葉喋らない寡黙さも不気味さと強さ醸し出してました。リュックのダチのチンピラ集団の家に逃げ込んで助け求めるも、日本刀持って外出たリーダー格一瞬で倒されて、更に部屋に乗り込んできた運転手に日本刀でチンピラ達がギタギタにされる所は痛快でしたね。その後、リュックから金巻き上げた汚職警官達も、テーザー銃喰らっても一切怯むことなく殺していく所はジェイソンみたいな不死身の殺人鬼感出してます。犬に暴力振るった男ボコって犬撫でたり、汚職警官達殺した時も金受け取らなかった警官は足撃っても見逃したりと無差別に殺しているわけじゃないと感じさせる所等、主人公達もクズなのも相まってちょっとダークヒーローっぽさもあります。
日本刀で足や腕切断されたり、ショットガンで頭吹き飛ばしたりちょっとだけゴア描写あります。
意味深に匂わされてた二人の過去は後半明らかになりますが、まあ、昔からクズだったんだなぁ。クリスはまともぶってるけど、結局逃げて罪償ってないし。この過去が大きく絡んでくるのかと思ったら…
後半から全裸監禁生活始まったと思ったら、タクシー運転手のルーツがまさかの日本にあった事が明かされる展開には呆気にとられること必至ですね。そこからの筋トレの末に悟りを開き、継承されていく展開も斜め上過ぎですね。アクション・スリラーとして始まったと思ったら仕置き人ヒーロー誕生物としてラスト迎えるとは思いませんでしたよ。ていうか主人公こっちだったのね(笑)
ただ、疑問点も多いですね。運転手が囁いた言葉は何だったのか(一瞬で理解するってどんな内容?)前運転手は何処へ向かったのか?選ばれる基準も謎だし、あの人と元カノもあの後ちゃんと解放されたんだろうか?
エンドロール中の無数のタクシー走行シーンはスゲーカッコよく感じた(笑)軍団になっちゃったよ(笑)
前半の「激突!」の様なアクション・スリラー、後半の斜め上な超展開どちらも楽しめた、凄く異色な映画でした。