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ある戦争のslowのレビュー・感想・評価

ある戦争(2015年製作の映画)
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勢いに任せた判断は、何を蔑ろにしてしまったのか。耳鳴りと痺れが消える頃、事態の深刻さに茫然とする。見つめる一点さえも定まらず、終わりなど見えるはずもない。
過熱する第三者の恐さを描いた『偽りなき者』に参加していたトビアス・リンホルムの監督作品。どことなくドグマ95の影響を感じさせる雰囲気で、欧州のあれだった。

少し前に観た『ノー・マンズ・ランド』も素晴らしい映画だったけれど、本作の事態は近い将来我々の国でも起こり得る可能性が高く、かなり身近な戦争と言えるのかもしれない。
混乱の中で下した決断は、机上でこれでもかと冷静に裁かれる。しかし、一個人の罪と罰と言うよりも、この社会の秩序と平和が如何に不安定なものかを、まざまざと見せつけられた気がした。
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