赤ちゃんパンダ

天国はまだ遠いの赤ちゃんパンダのネタバレレビュー・内容・結末

天国はまだ遠い(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

AVにモザイクをいれるという内容的に人にはおおっぴらには言えない仕事をしているゆうぞうが、インタビュー内で職業は、と聞かれて、なにか人にマウントをとるような職業に就いていると嘘をつくでもなく、派遣でコールセンターで働いていると言うのがよかった。それより前の喫茶店のシーンで、五月が28歳で大学の卒業制作をしていることにたいして、「遅くないですか?留年とかですか?」と人をばかにするような言い方をして、そこから五月がロンドンへ留学シテて英語がペラペラとわかったときから微妙に態度を変える感じ。でもおんなじように、“できる人間”をばかにしている感じ。
とにかく自分に自信がなくて、いまの自分に劣等感をもってそうなゆうぞうが、だんだんほんとうにいかにもそういうやつに見えてくる。目つきとか。いやなやつだなあと思う。
でも、憑依のシーンになると、伏目のゆうぞうが、すこし高い声をだしてしっとりと話して、なんだか肌つやもよく見えるし、別人みたいに見える。すごいな。
映画の設定としてほんとうに憑依していたか、それともゆうぞうが憑依されたふりをしていたかは別として。そもそもゆうぞうは役者が演じているキャラクターのわけで、あの場でほんとうには憑依していない(三月は現実にはいないし、憑依していたとしても憑依された演技にふぎない)のだから。
五月は、霊的なものなど信じがたいという気持ちだったのが、にわかにゆうぞうの言っていることを信じかけて、三月との再会に感動して、その後嘘だと判断して怒り、でもそのときの感覚は心地よかった、と、今度は自ら嘘だとわかっていながら騙されに行く。そして嘘だとわなりながら、そこに三月を見て、三月と再開する。

ふしぎな映画。
インタビューを撮るのに使っていたカメラの画面には、幽霊である三月は映ってる(濱口監督は映す)のかなとちょっと気になった。
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