Naoya

ダンケルクのNaoyaのネタバレレビュー・内容・結末

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

クリストファー・ノーラン監督の初の史実に基づいた作品。1940年、フランス北端ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人の兵士たちと、その救出作戦の実話を描いた内容。本作では、極力台詞を排除されており、その分の情報量が多く、密度が濃く、緊迫感や臨場感が凄まじい。見せる、聞かせる魅力が満載。戦争を〝感じる〟映画になってます。場面として、陸海空の時間軸で描かれるのだが、どれも濃厚で、どの視点においても完成されており、各章だけでも物語ができるが、ノーラン節が満載で、それぞれ異なる時間軸で描かれる物語一つ一つが絶妙に、違和感なく鼓動し、より物語の深みを増している、タイムサスペンスに仕上がってます。ノーラン監督作にしてはシンプルに感じながらも、戦争という題材なだけあり、細かく密度があり、生々しさが際立つ物語。戦争映画さながらの迫力押しに特化するだけではない、密な人間模様もしっかり描いているのはノーラン監督作らしく、場面場面が、破壊や残酷描写だけに劣らず印象的に映ります。あくまで主人公は1人の若き英国兵としながらも、主役を前面に押し出していないのも没入感を増す手法になってます。主張していない登場人物が、戦争とはを描く上で重要な象徴になってます。戦争に不可欠な人を描き、戦争を描きつつ、その戦争に参加させられている登場人物により感情を移入させる手助けもあり、抜かりない構成で、バランスがとれてます。これだけの濃さで本編99分というコンパクトさだが、深みは全く衰えない、むしろ実話を基にしているだけに、深みが増している作品。若き主人公達の中、キリアン・マーフィーやトム・ハーディーらの存在感がとても心地よい。ベテラン勢がいる事で、物語も引き締まるものがある。総じて、本作の監督、クリストファー・ノーランの力量の深さは底知れないものがある。
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