このレビューはネタバレを含みます
緊張感半端ない。セリフが少なく映像と音の迫力が半端ないのでIMAXで観るべき映画。
戦争を題材にしているが、プライベートライアンのような戦争の悲惨さを主題にしている映画ではない。
むしろ、ダンケルクスピリットという言葉があるらしく、みんなが団結して撤退して多くの命が助かった。それだけと言えばそれだけの話。
史実なので英国人とそうでない人とで受け取り方は違うと思う。けど、とにかく描写が最初から最後まで一貫して凄まじい。
爆撃機が迫って来る怖さ、沈没して溺死する怖さ、敵機に撃墜されそうになる怖さ。カメラが当事者たちに肉薄してるので様々な怖さが観客に体験として迫って来る。
ノーランはさらに３つの時間軸を、今までにない方法で組み合わせて見せる事で、恐怖を連続させ観客に息をつかせない。
映像だけでなくハンスジマーの音楽も素晴らしい。ストーリーと密接に対応したミニマルな音楽は映画全体で一曲のようになっていて、映画のテンションを完全にコントロールしている。戦争映画でありながらオペラを観ているかのよう。
３つの時間軸はやがて見事に集約され終わりを迎えるが、そのカタルシスたるや！
戦争をリアルに描いているにも関わらず、反戦を訴えているわけではない事に違和感を感じる人もいる事だろう。正直自分も多少それは感じたが、ひとつの映画としてスゴい作品だと思う。
この映画を作るためにどれだけの労力を注いだのか。映画としても感動したが、ノーランをはじめとした制作チームの姿勢にも感動した。
