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ダンケルクのMrMINEのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.5
クリストファー・ノーラン監督が初めて作り上げた戦争映画。
これは戦争映画ではなく、緊張感のある歴史映像のようであった。

タイトルの“ダンケルク”、これはフランスのダンケルク海岸と呼ばれる本作の舞台となる地名である。
歴史に遺る、第二次世界大戦においての連合軍撤退を描いた物語。

ノーラン監督はこの歴史的作戦を空の視点、海の視点、陸の視点とそれぞれ違う角度から人物たちの行く末を描いた。

時間軸も置かれた状況もみんなバラバラだけれど、皆同じゴール地点である“生き残る”という道へ向かう“時間”の流れを描いた。

違った視点で見える精神状態と緊張感がリアルに描かれていて、見ている我々をいっときも休ませる余地を与えない。
どこからともなくやってくる銃撃、どこかで鳴り響く銃声、戦争という目に見えない敵との戦い、もはや人間同士が戦っているとは思わせない人間の味を感じさせない戦争そのものを映像表現している。

一目見ただけでこれはノーラン監督の映画だとわかる。しかし今までの彼の作品と違うのは短尺だということ。わずか106分の作品だ。
最初から終わりまで、ずーっと同じトーン。映画の盛り上がりだとか強弱とか、ロマンとかそういったものを取り除いて作りこまれた作品。
心に鳴り響く時計の秒針。
どんな戦争映画よりも戦地の凄惨さが描かれた作品であった。

P.S.主役級をはる役者のほとんどが無名、もしくはデビューという登板をさせたキャスティングにも注目。
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