けけ

エヴォリューションのけけのネタバレレビュー・内容・結末

エヴォリューション(2015年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ラストに映る都会の街からさらってきた少年を、文明社会から隔絶された島で強制的に妊娠出産させる話。

冒頭で、溺れるから海で泳いではだめ、というような(偽物の)母親のセリフがある。さらに、明らかに荒れた海で平気で泳いでヒトデをとってきたり、泳いでいる主人公を助けに行ったりすふシーンがある。それと、女性たちの背中の吸盤。このことから、少年たちだけが(外からさらってきた)人間で水棲生物ではないため、少し過剰に心配されているのだと予想した。愛情からというより、苗床として貴重だからかな。母親の言うことに従いなさい!という印象的なセリフからもそう感じる。

(偽物の)母親が主人公にヒトデやカニの変化の話をして薬を飲ませるシーンでは、これからの強制妊娠、出産にむけて身体を作り変えるための薬だと理解した。

海辺でのヌルヌルとしたシーンは明らかに生殖行為の表現だと思う。そこで受精卵を作り、注射器で少年の腹に入れて、ある程度まで育てさせて、腹を切ることで出産させるというやり方で、自分たちの種をつなぐために少年たちを利用している。

少年たちが産んだ未熟児たちは人間ではなく、成長すると島にいる女性たち(吸盤のある水棲生物)になるのだろう。そしてまた、成長した女たちが受精卵を作り…という流れだと思う。

途中で病室からいなくなった少年は、あとで主人公に発見されたとき嘔吐しているが、あれはつわりの表現かな。

少年の本当の母親らしきステラは、そんな島から主人公の少年を逃がし、街に返したのだと思う。しかし、ステラはおそらく人間ではなく、街では生きていけないため、島に帰ったように見える。
ステラは、レオナルド・ダ・ヴィンチの描く人物のような美しい顔で、現実離れしていて良かった。

妊娠出産って、こんなに暴力的で気味の悪いものだっけ、と思うと同時に、自分の身体の変化や、お腹に蠢くなにかがいる怖さ、みたいなのは確かにあって、女性たちのある種リアルなのかなと思う。
色々と現実世界に照らして考察することはできるけど、不気味で美しいこの世界観は、あまりメタ的な考察はせず、そのまま受け止めたい。
けけ

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