「エヴォリューション」
2016/12/05
まさにゼラチン状の悪夢。美しくも生々しい映像と、静寂に息づく海の生き物たちのざわめき。じわじわと追い詰められていくような気味の悪さだった。ヌメヌメとした膜を1枚1枚剥がしていくように、明るみになっていく真実に総毛立つ。象徴的なヒトデ。赤いヒトデは主人公ニコラの運命を暗示しているようだった。
妙に印象に残ったシーン。
ヴィクトール:これが何か分かる?
ニコラ:うん
ヴィクトールは何故血を吐いていたのか?
ニコラが水槽の中で見た赤ん坊とは?
ステラはなぜ自殺を選んだのか?
ひとつひとつ想像を掻き立てられ、疑問を宙吊りにしたまま話は進んで行く。ハッピーエンドにもバッドエンドにも転びそうな緊張感の後、結末、私達はひとつ答えを得るのだ。ああ、あの島はまさしくディストピアだったのだな、と。