このレビューはネタバレを含みます
【非日常が日常の紛争地帯】
井戸に放り込まれた腐乱死体を引っ張り出すため、ロープを求めて右往左往するNGO団体メンバー達。
ロープは切れ、売ってもらえず、貸してもらえず、繋がれた猛犬は眠らず…。ようやく入手したロープは…。
ジョークを絶やさない村人や牛飼いを見かけ、一見のどかな地域にも、あちらこちらに埋められているらしい地雷や罠。
無数の銃弾跡、爆破で吹っ飛んだ屋根。一角に小さく敷き詰められた沢山の墓石。
戦争の爪痕が生々しく残る住宅街には言葉を失います。これらへの反応の違いが、ベテランメンバーと新入りとの経験値の差として描かれていました。たわいない会話、痴話喧嘩など延々と聞くのが退屈にも思いましたが、これぞ世界共通、人間の常であり、非日常に生きるメンバー達の日常なのだと思いました。
現場を知らない人間が作った、使えないプロトコール。遵守されない和平調停。「平和と生活の復興」という同一の大きな目標を掲げているはずなのに、組織の規則が妨害になるという皮肉。
必ずしも地元民に歓迎させたり喜ばれたりする訳ではなく、時に無力感に襲われながらも、汚れ仕事すら楽しく真面目に取り組む援助活動家達が、今日も地雷を踏まず、子供を救い、素晴らしい一日を送れるよう心から願います。
“People need your help...
That's your family.
The family that waits for you, misses you.
How many people can say..... they are missed by people they've never met before?”