確かに今見ると死体の描写はチープだし、主人公である警官パートのドラマ部分が多過ぎて飽きるなどの弱点を感じてしまう。それでも事件現場にいるかのようなドキュメンタリータッチな演出や知人や家族を殺されてパニックになった人たちの描写がリアルなので本当の事件を見ているような感覚で凝視してしまう。
殺人犯とメキシコ出身の警官、繋がりの無い二人の主人公が事件を機に加害者とそれを阻止するものとして結び付いてどんどん近づいていきラストの一瞬に結実する展開も見事。殺人犯の内面が描かれない分主人公を通して殺人事件の凶行が描写されるので、日常が突然地獄へ変貌する理不尽な狂気が恐怖感を伴って伝わってくる。
そして主人公たちが殺人犯のところへ突入するまでの、こちらまで喉が乾きそうな異様な緊張感に満ちた数分間は一生忘れないと思うほどのインパクト。