コウキ

シング・ストリート 未来へのうたのコウキのレビュー・感想・評価

4.5
君といれば何にでもなれる。

舞台は1980年代のアイルランド。父親の失業により、転校を余儀なくされたコナーは安息を感じられずにいた。そんなある日、街で見かけたラフィーナに一目惚れし、彼女のためにバンド活動を開始する。

音楽がとにかくいい。80年代の独特で味のある雰囲気が、作品全体を駆け巡る。私はその時代を生きていないはずなのに、懐かしさを感じさせる音楽は素晴らしい。「Drive It Like You Stole It」のMVはプロムの派手さにどこか切なさを感じられて最高だった。

友達や恋人と一緒だと何にでもなれる気がする。そんな経験を青春時代に誰しもがしてきたと思う。けれど、年齢を重ねるうちに、現実を知り、どんどん型に押し込まれていく。そしていつしかあんな大人にはなりたくないと考えていた大人に自分がなってしまう。
ブレンダンの「どんな仕事だって、誇りを持っていればそれは天職なんだ」ってセリフがすごく刺さった。他人指標で仕事を考えるのではなく、自分のやりたいことを探す。もっと自由に、自分の好きを貫くことは難しいことじゃない。たった一度の人生なんだから。一歩を踏み出し、明日を生きる勇気をもらえる作品。
コウキ

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