音楽映画のなかで1番好き。
この映画を観たら、
サブスクでこのサントラを絶対に探すことになるでしょう。
そして、ヘビーローテーションする!
キーコンセプトは、台詞に出てくる、
happy sadな気持ち。
主人公は、アイルランドのさえない高校生男子です。
両親の不仲、荒れた学校、教師からの理不尽な圧力などなど、主人公は重荷を背負っている…。
そんなストレスフルな状態で、
「バンドのミュージックビデオに出演しない?」って、美少女を誘う。
女の子がモデル志望と知ったから。
バンドなんかつくってなかったのに。
そんなことしてる場合じゃないでしょとツッコミをいれたくなりますが、主人公はめげません。
女の子の気をひくために、急造でバンド仲間を集め、PV作成に邁進していく。
しょぼいきっかけだったはず。
いつしか、仲間との曲作りや演奏が、主人公を支え、生きるよすがになる。
自尊心を回復させ、成長を促す。
大人っぽくビッチな印象だった女の子(ラフィーナ)の良さがだんだん分かってくるところが素敵です。
バンド仲間のキャラクターや背景は深掘りされないけれど、それぞれのメンバーの魅力が垣間みられてまた愉しい。
チョイ役のキャラも立っている。
例えば、
「このバカ男子達が…」という感じで呆れて接していたエイモンくんのお母さんが、いっぱしになった曲(「Up」)を練習しているとき、ニコニコ踊っていたのがかわいらしい。
よくケンカをふっかけてきたフーリガンみたいな同級生との和解のシーンも良かった。
とにかく、挿入曲の1つ1つが素晴らしい。
「コピー曲なんかやるな」って、兄からアドバイスされてオリジナル曲で勝負していくという設定だから、その時々の主人公の心情がよく分かる。
怒りやロマンティックな気持ちも歌詞にダイレクトに反映され、“悲しくてうれしい”物語を彩っていく。
ラフィーナを励ますために作った「To find you」が珠玉の名曲。
どうしても、これをあの場面で歌いたかったんだね。
(「盛り上がっている時にスローな曲なんて」って、他のメンバーに反対されるけれど、詩と旋律の成り立ちを知っているエイモンから「よし、やろう」って後押しされる瞬間もグッとくるとこ)
結末は、映画芸術でしか表現できないシーンです。
若い人にみてもらいたいと思いました。
ジョン・カーニー音楽3部作の1つ。
自伝的要素が強いと監督はインタビューで話しています。
主人公を導くお兄さんが重要な役回りです。
監督の実兄像が投影されているとのこと。