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シング・ストリート 未来へのうたのKINのレビュー・感想・評価

4.9
音楽を生みだすこと、もっといえばなにかをつくりだすことを貫きとおすことが自分や周りの人間の心を動かしていくことを教えてくれる。
ラフィーナの描き方が甘いとも思ったがこれは実は2人の物語ではなくてコニーの成長の物語、だからこそラフィーナは"憧れの女の子"として象徴的に描いてるのだろう。
「やるなら中途半端じゃだめ」とラフィーナに言われてコニーは本当に恋に落ちてしまう。そこからのキスは甘酸っぱさこの上ない。

そして何より素晴らしい楽曲の数々。
オリジナル曲の「up」が特に素晴らしい。
またこの曲が生まれるシークエンスはこの映画屈指の名シーン。
ひとつの音楽がある体験から生まれて、曲になって、奏でられて、誰かがそれを聞いて感動をする。この"歌の一生"を流れるように見せてくれる。
音楽のみならずものづくりの楽しさや快感さえも思い出してくれる。

またコニーの兄、ブレンダンをなくしてはこの映画は語れない。
コニーの夢はかつてのブレンダンの夢であり最後のシーンはまさにそれが託された瞬間。兄弟だからこそ、なにがあってもきってはきれない関係であってどんな状況でも助けあって生きていく。
映画の最後に書かれていたように、この映画はどちらかといえば恋愛映画ではなくて兄弟映画なのかもしれない。

青春、恋愛、兄弟、家族、夢
つまり人生全体を音楽という魔法で包み描いている
現時点で2016年ベスト映画になってしまった
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