このレビューはネタバレを含みます
映画としては普通だし、物語シリーズ特有の会話劇の小気味良さが味わえるというわけでもないのだけれど、それによって寧ろ、人物描写の緻密さを感じられる。友情と恋愛感情。愛情と恋心。アララギと羽川の心の動きがモノローグなしでも描き切れているいい映画作品。
キスショットの四肢を取り戻すため、アララギは3人の敵と決闘していく。
ドラマツルギーとの対戦前、吸血鬼に会いたいという羽川に対してアララギはひどく動揺し、彼女を自分から遠ざけるための言葉を放つ。
ドラマツルギーとの対戦後、対戦を見ていた羽川は力になりたいという。最初は突き放すアララギだったが、ついには「友達になってください」と心を開く。このシーン、「パンツでも見せてくれたら考えるかな」と悪態つくアララギに対して、羽川が素直にパンツを見せてアララギが降参するというのは好きだし、等身大の高校生感を醸す役割も果たしている気もする。ポップな会話劇でなく、映像ベースで心情を表現する本作だからこそそう感じるのかもしれないけれど。
エピソードとの対戦にて、羽川の命が危険に晒される。アララギの不死の力によりことなきを得たのであったが、アララギは彼女にもう関わらないでくれという。友達が傷つくのは自分が傷つくよりも辛い、と。
ギロチンカッターとの対戦にて、ギロチンカッターは羽川を人質にとる。アララギはそれに対して怪異的な能力で羽川を救い、ギロチンカッターを破る。羽川のために、人間を辞めることを選んだ。