半兵衛

夜よりも深い闇の半兵衛のネタバレレビュー・内容・結末

夜よりも深い闇(1946年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

初見の人はこのレビューを読まない方が良いかも、この映画の醍醐味が失せてしまう可能性があるので。

冒頭からのほほんとした雰囲気や、敏腕刑事の主人公が休暇に訪れる田舎ののんびりとした描写などからミステリーでよくある「探偵が旅行中事件に巻き込まれて解決する」という内容だと思ってしまう。ただ牧歌的な世界観にそぐわない、時折主人公が見せる目の焦点が合っていない状態で呆然とする主人公の顔に違和感を覚える。

その違和感が確信に変わるのは中盤での肝心の事件からで予期しないことが次々と起こり、見ているこっちがどんどん不安に駆られていく。それが決定打となるのが主人公の推理シーン、そこから先は「一体自分はなにをみせられているのか?」という怒涛の展開に息を呑む衝撃のサイコパス映画に変貌していく。夜の闇や雨の降る列車、主人公の顔に差す異様な光がこの異色のミステリーを悲しく彩る。そして冒頭の足元のカメラワークの真意がわかったときの恐怖感ったら。今から70年以上も前にこんな佐藤寿保が撮りそうなサイコ映画を作ってしまったジョセフ・H・ルイス監督は本当に狂っている。

「どういう意味があって名付けたの?」と思えてしまうタイトルも、本編を見終わるとぴったりだなと思える。

こういう展開は小説では時たま見かけるが、映像で成功したのはこの映画ぐらいか?









ここから本当のネタバレ。
ラストの犯人が幻覚を見るシーンで『エンゼルハート』のラストシーンがダブってしまった。
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