☑️ 『ふしぎな庭』シリーズ５本▶️▶️
必ずしも画質はよくなかったが、この作家のユーモラスなシリーズ物のもう１つの柱『ふしぎな庭』の５本を観る。『男はつらいよ』『トラック野郎』といった１話完結ではなく、『新吾十番勝負』『宮本武蔵』といった連続性を持ち全体でひとつのお話完結となってて、壮大な１宇宙?の、アプローチの仕方･視点を変えての検証･提示ともいった作品となっている。この作家は途中から（初期合作してた、高名なる）トルンカの古典性･先鋭性を意識して、面白一辺倒からアートへの脱却･合流を図ったところもあると聞き、正にこれは故トルンカの原作に基づいたものなので、少なからず心配していたけれど、本シリーズに限ってはホント、まわりくねって、ゆるくどうでもいい事を、非能率的にゆとりを感じさせて描き抜いてる、ポヤルの味がでていて、かつ造形・ニュアンスは絶妙を極め、突拍子もなさ・放り投げ的括りも健在？ １話目だけ、水彩トーンの切り絵アニメで、予定外に巨大になってしまったペットたちの広く深い庭を遺して逝ってしまった老人の半生を描き、2～5話は線描図もときたま載っけた人形アニメで、忘れられた庭に繰返し探検に入っていくSキング＝Bライナー『スタンド・バ～』的4人の少年らを描いてて、『アマルコルド』的濃霧とミステリアスムードの中から、嘗て老人が愛した（石像）妖精・猫・象・鯨がいとおしさよりもダルさで、経年とユーモアを感じさせて現れ、遊び場の庭を争ったり、博学の教えを乞うたり、ピンチを助けてもらったりしてく。
何より、表現への志しはともかく、テクニック・柔軟性においてはポヤルの方がトルンカより、１枚も２枚も上にいる気がする。切り絵アニメの侘びや無常感のあとは、執拗な人形アニメの限界的まさぐりが続く。仲の悪い高名な美術家と目指すものの為にコンビをまた組み、それが不思議な粘りとして現れてる。霧の深いトーンとそれが光の射し込みも入っての複雑ニュアンス、小道具たちの繰返し微妙に違うものの出し合わせ方、塀・扉・鍵穴・緑と草花・ディズニーのマルチプレーン的動的数層立体背景らの造形のピーク、内や外へ出ての駆けてくスビード感。何より凄いのはキャラもしっかり分かれてる子供らのそれぞれの目鼻口の細かい動き・顔の傾き伏せ具合らの微細変化の表す感情が実写映画に劣らず表されてることで、いまの3DCGでも至難のリアル人間表現がこの時点で完成されている。破天荒な展開や立体感は場所の空気の造形にウエイトが移ってやや地味になってるし、メタモルフォーゼも一気・突飛よりもペットたちの経年での変化の味わい・おかしさ・苦さの方へ移ってる、少年たちも手足が伸びるくらい。
切り絵の段階では、それぞれに慎ましく自己の運命に従ってたペットたちが、ひと癖もふた癖もあるものに、なってて実に味わい深い。可愛かった仔猫は、庭の主導権を争い延々知恵と体力比べをする嫌らしい大人になってるし、鯨は主人から与えられた蔵書も増やし変に博学になってる。あまりにのっぺりした巨大化キャラは、SW的でもあり、助手の跳ね続けてる小さなカエルたちの可愛さと見事なアンサンブルを作ってる。何かと行動を共にし、助けてくれるチームワークの象さんたちは子供も増えてる。石像の妖精だけが友で孤独を癒す為にペットたちを飼い愛した、故主人も別のかたちで夢が続いてってる手応えが嬉しい。

最初のこれを最後に観てしまったけど問題なし

BOOK CULTURE CLUB主催「チェコアニメ上映会」にて第2部「ふしぎな庭」シリーズとして鑑賞

柔らかな絵柄と天丼ネタが可笑しい。
魚の声が不気味で良い。

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