櫻イミト

赤い夜の櫻イミトのレビュー・感想・評価

赤い夜(1974年製作の映画)
3.5
「顔のない眼」(1960)のフランジュ監督の最後の作品。連続活劇「ファントマ」をオマージュしたテレビシリーズ「顔のない男」(52分×8話)のダイジェスト版。脚本・出演は「ファントマ」のルイ・フィヤード監督の孫ジャック・シャンプルー 。

【あらすじ】
1970年代パリ。マキシム・デ・ボレゴ博士の使用人アルベールは金に困り、「テンプル騎士団の財宝」の在りかを博士が知っている事実を情報屋に売ってしまう。情報はギャング団首領の赤覆面”顔のない男”(ジャック・シャンプルー)に伝わり直ちに博士を誘拐、財宝の秘密を聞き出そうと拷問している途中で殺害してしまう。一方、捜査に乗り出したペクレ警部の元へ、博士の甥ポール・デ・ボレゴが旅先から到着、恋人のマルティーヌ(ジョセフィーヌ・チャップリン )友人の探偵セラファンと共に捜査協力を開始する。”顔のない男”は甥ポールに目を付け、女ギャングの”ザ・ウーマン”、マッドサイエンティスト”ドクター・デュトロイユ”らに命じて財宝の秘密を付け狙う。この状況を影で見守るのは現代も地下活動を続けていた”テンプル騎士団”だった。。。

テレビドラマシリーズの総尺416分を100分に縮めているのでさすがに無理があった。ドラマの肝のひとつがテンプル騎士団の財宝の正体なのだが映画版ではその要素が全て省略されている。ギャング団による複数の犯罪シーンもカットされているため、魅力が半減以下の残念な総集編となっていた。テレビシリーズは面白いので日本語版の配信&ソフト化を希望したい。

キャットスーツと覆面で夜の屋根に立つザ・ウーマン(ゲイル・ハニカット)がカッコ良い。1970年代版のイルマ・ヴェップ(ミュジドラ)のようであり「ダークナイト ライジング」(2012)でのキャットウーマン(アン・ハサウェイ)の原型と言える。

終盤に登場する人間ロボット軍団(ジャケ写画像)のマスクが1960年代新生「ファントマ」(ジャン・マレー×ミレーヌ・ドモンジョ)の顔なのも注目。
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