このレビューはネタバレを含みます
ひとりの男として、棋士としての生き様を見れば、とてつもなくかっこいい。ただ、母親として見ると、将棋に関わるすべてが繰り返えされる自殺のようで胸が詰まった。将棋に関わるすべて、というのは村山聖の人生そのものなのだ、と思えるか思えないか。
私は女だから、かっこいいでは片付けられない切なさがどうしても溢れてくる。
病に伏せて自宅に戻った聖を迎えいれ、夜にそっと「聖が子供のころに戻ったみたい」とはしゃぐ母の素直な喜びが刺さる。
羽生善治のかわいい嫁さんをもらった幸せな結婚や、人間としての器や社会性が、聖の人生で果たせなかったすべてのように見えた。
だけど最後の対局。羽生善治の涙が、もうどうにも辛い。真剣勝負というのは、こういうことなのかと思い知った。
いい映画を観た。