このレビューはネタバレを含みます
映像に断片性が感じられるのが面白かった。無人島から大きな島に流された場面では話の区切れが感じられたり、フンを踏んで斜面を転げ落ちた前と後、熊を発見して好きな女性の家の裏庭に到着した前と後の大きな展開の仕方に斬新さを感じる。
裏庭から死体を持って逃げる場面で、旅が現実世界のすぐ後ろで展開されていたことがうかがえる。バスを作っていた場もすぐ近くで、海もすぐ近くにあった。
現実に反映させることの出来ない内面と感情として浮かびあがった外面との対比と共通性が旅を通じて映し出されていると感じた。
社会的規範に従わない内なる思いが現実世界に到着した瞬間に気を失い、消えていく感じ。
旅の中で内なる自分を満足させて、自分の可能性を拡大させる表面の自分。
内なる自分は行くべき方向を知っているが歩くことができない。表面の自分は行くべき方向は知らないが歩くことができる。