若大将オーウェン

パターソンの若大将オーウェンのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
5.0
恥ずかしながら、ジム・ジャームッシュ初鑑賞。鑑賞前にさらっとここを見ると、何も起きない日常みたいなことが書かれていて、そういう感じのたんたんとしたやつなのね!と高を括って行ったら、そんなやわで陳腐な想像を遥かに超えた味わい深い上に、とっても面白い映画でした!
パターソンに住む、バス運転手で詩人でもあるパターソンの日常は確かに同じルーティーンの繰り返しだ。
起きて、時計を見て、恋人にキスをする。仕事をして、家に帰り、犬の散歩がてらバーに行く。
ショットも同じ構図を反復する。他にも双子というイメージも反復させる。
でも昨日とはちょっと違う新しい今日が、どれだけ豊かで詩的なことか、この映画は伝える。1日だって同じ日はない。
試写会のあとのトークショーで山崎まどかさんがジャームッシュのうまい外しを指摘していたが、例え起きなくても、何かの予感に満ちた日常が可愛らしくて愛おしく感じられる映画です。
ちゃらんぽらんの恋人やパターソンの書く詩、美しい撮影など言及したいことがたくさんある本当に素晴らしい映画です。
自分の変わり映えしない日常にもきっと詩的な瞬間があって、パターソンを見れば、誰もが詩人になり、そういう瞬間を味わえることでしょう。