ゆず

ゴッホ~最期の手紙~のゆずのレビュー・感想・評価

ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)
3.5
ゴッホの代表的絵画の数々が動く!喋る!
一瞬一瞬がすべてゴッホのタッチ!125人の油絵画家によって4年に渡って制作された総フレーム数はなんと65000!
世界中の画家たちのゴッホ愛が生んだ、奇跡の油絵アニメーション!

…ということなんだが、個人的にはゴッホについて私が無知すぎるせいであまり乗れなかった。
ゴッホの死の真相を探っていく中で、彼が遺した絵画の被写体と同じものが登場する、というのが見どころなので、少なくともゴッホ作品を見ていることが大前提。
私の場合、何がゴッホで何がゴッホでないかもよく分かっていないレベルの無知だったので、全編が油絵タッチで進むアニメーションの狂気を頭で理解はしても、肝心のストーリーの方はあまり心に響かず、という感じだったッホ!
ゴッホ好きな人が見れば、「あー!この風景はあの!」とか「あー!ここであのキャラが!」とかなるんだと思うので、ゴッホ好きにおすすめするッホ!

ちなみに65000フレームを125人で割ってみると一人あたり520枚。
俳優の演技を撮影したものをキャンバスに投映し、ゴッホのタッチを真似てトレースしていくロトスコープの手法がとられたそうだが、画家たちはやっぱり連続した520コマをそれぞれ担当させられたのだろうか?うんざりしなかったのだろうか?
ちなみに65000フレームを上映時間95分(5700秒)で割ってみると、1秒あたり約11.4フレームが使われていることになり、つまりたった1秒進ませるために画家たちはほとんど変化のない絵を11枚描かなければならない。うんざりしなかったのだろうか?違うシーンも描きたいよー、とは思わなかったのだろうか?
そんな画家たちのストレスを緩和する方法としては、「連続しない520コマを担当させる」、つまり520コマは45.6秒だからきっかり45.6秒ずつ飛ばして描いていくという手もあるが、その場合、誰が何フレームと何フレームと何フレームと…(×520)を描いていてその次のコマは誰が描いてるとかいうことを管理するシステムはどのようなものなのか?バラバラに仕上がってきた65000枚の絵を正しい順番に並べ直すのは誰なのか?うんざりしないのだろうか?
いや、うんざりするような人はそもそも情熱が足りないのであり、芸術には情熱が人一倍必要であり、この映画は4年かけて完成したのだから画家たちには人一倍の情熱があった、ということになるだろう。
しかし、数字を計算してみると実際に見る以上に物凄い狂気を孕んでることが分かる…。



12/20 ゴッホ 最期の手紙 字幕 @チネ・ラヴィータ
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