ゴッホの生き様に胸を打たれるモノがあるのは当たり前として
手間暇かけた独特過ぎる映像のせいも勿論あるが、所々非常に「絵画的」な瞬間がある
（人物のファーストカットは基本実際の肖像画の構図を模しているので「絵が動き出した」感があるし、風景画っぽいフレームの切り取り方も多い。）
「絵画的」であるという事は「描き手」の「視点」を強烈に感じるという事だ
ゴッホについてその技法を語れる程詳しくはないが、作品の情熱的な色使いや狂ったパースは、要は「ゴッホには世界が実際にこういう風に見えていて」、それをそのままトレースしただけって事なんじゃないのかな
（詳しくはないが、計算して技法を選ぶ様な人じゃないだろゴッホは。もっと純粋で愚直なイメージがある。）
そして映画は主人公の旅路をゴッホの絵画と同じタッチで描いている…映している…
…気になって見に来たのかなあ？
（そういや中盤でゴッホの主観ショットもあった。）
「誰の視点なのか？」という意味で個人的には「バードマン」や「レイチェルの結婚」と同じタイプの映画
ストーリーは「羅生門」的だったり、田舎の閉鎖的な雰囲気だったりと思ったより本格的なミステリー（ノワールっぽさもある。）
ミステリーにおいて「探偵役」って「全て起こってしまった後に動く」場合がお約束
実際の出来事を題材にした今作はそれがより顕著なのだが、だからこそ「死者に対して生者は何が出来るのか」という切り口が効果を生んでいた様に思う
（この映画自体が死者に対しての「リスペクトする」という行動そのもの。）
製作に携わった画家の方々も無視できなかったであろうシアーシャ・ローナンの印象的な青い瞳が美しー
※吹替で観ましたが、主人公の声カッコイイなと思ったら山田孝之だったのね。全然上手いわ。
