木野エルゴ

12金鴨の木野エルゴのレビュー・感想・評価

12金鴨(2015年製作の映画)
4.1
口のうまさで女をたらし、女性相手の接客業でトップに君臨していたfuture哥こと張近萊(サンドラ・ン)はある日、肢体不自由な女性と出会い、彼女の治療費を全額負担する。しかしその後、彼女はfuture哥の前から姿を消した。彼女のfacebookには男と旅をしてはしゃいでいる写真がアップされていた。しかも一緒に写っている男は彼女の主治医だった。

騙されたことに気がつき、future哥は表舞台から姿を消した。

そんなfuture哥のことを気にかけていた魯老師(アンソニー・ウォン)は場末で男性ストリッパーとして落ちぶれていたfuture哥を見つけ出し、彼に再び自信を取り戻させようと声をかける…


個人輸入で買った作品。日本でソフト化も配信もされていないのがめちゃくちゃ惜しい。というか、Filmarksの古天樂(ルイス・クー)の名前がルイス・クィンになってて検索にヒットしなかったから作品ページがあると思ってなかった。

サンドラ・ンが男性役として主演してるってだけでも面白いのに、マッチョイズムとメンタルケアという相克しがちな要素を上手く組み合わせた作品になっている。女性に奉仕する男性というのはチャップマン・トウが主演した日本のAVを題材にした『大性豪』に通じるものがある(あれもルイス・クーの会社「天下一」制作だし、この作品もそう)。下品で馬鹿馬鹿しくもありながら不快感が少ないコメディ作品。

何より面白いのがめちゃくちゃ豪華なキャストとそのキャラクターで、アンソニー・ウォンが演じるマダム専門のボイストレーナー、ルイス・クーが演じる太めの女性ばかりが集まるフィットネスジムの胸筋がゴツいインストラクターのロッキー、サイモン・ヤム演じる胡散臭いサプリの営業マン、マイケル・ツェーが演じるfuture哥に好意を寄せているメガネのカメラ青年など、全員芸達者で本当に面白いし、何より楽しそう。

中国版のWikiを見るとサンドラ・ンとサイモン・ヤムとルイス・クーとマイケル・ツェーのキャラが同級生らしいが、その時点でもう笑える。

本当にこの作品、配信でいいから日本で見られるようにしてほしい。
木野エルゴ

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